誕生する

誕生する

この母体の羊水に誕生したその時の肌の5感感覚をあなたは憶えているのでしょうか。
あなたは誕生時の記憶を、この今の時空に再現できるのでしょうか。この世、あの世、そして受精卵。みんな不思議な世界なのです。あなたがこの世界に誕生する本当の意味とは、どういう事なのでしょうか。
誕生してから10秒後の時空を青空の遠い遠い彼方の世界に再現してみるの。
あの時母親が私の誕生を心より喜んでいる御姿が思考実験によって再現されていきますわ。
この世界を初体験する乙女の安らいだ安堵の表情に臨世の青い聖夜へと、細部にまで神が宿る啓示に、母親が神に代わって私に生命に対する教訓を優しく述べるのです。
人間を今生きているって本当に素晴らしい事なのです。青空は私を誕生させた事を本当に想定していたのでしょうか。
神による私の生命の存在定義は、量子力学の無量大数的な確率で肯定されているのでしょう。
あの時に確かに誕生した生命は、私の思想においてのみ決定権があるのだと本当に強く信じていましたの。神の素粒子がひらひらと人体を宇宙的な広大さで泳いでいく壮大な景色に、私の脳内物質は神との対話を行うのです。
脳は神の啓示とそれを受けた私の意志とを感覚して、全ての未来を神の啓示に委ねてしまう。
そう全てを神に委ねて、私の存在はこれで全てが正しかったのです。
ああ、お願いです。私の人間の脳としてこの世界を生きさせてください。
誕生する前の母親の羊水にいる時に、この世界での生命の定義である脳、心、体の使い方の講義を、神から丁寧に説法されたのです。
そして、神の説法を愛しなさい。この人間の内なるミクロの素粒子の誕生は単純でいたって単細胞の生命の発露でしかないのですから。
そして誕生した生まれたばかりの私を、宇宙の外側からじっくりと客観的に観察してみました。
私ってたかがそれだけのミクロの細胞の集合体にすぎなかったのです。でもこの小さな儚き夢幻のごとき一つの人生において、人間が本当に立派に成長していく大義があったのです。
想像しているこの宇宙と宇宙の外側の無の時空との関連性から、さあ全て人間よ、誕生した受精卵へと解脱しなさい。
私を誕生させた受精卵は、どのような5感情報を襞の中に仕組んで大事に所有していたのか。
この世界に誕生して微かに薄く動き続ける受精卵は、私の意志によるものだったのか。それともまたは神の意志によるものだったのでしょうか。
神よ、私をこの世界に生まれ存在させたのは、神の意志による受精卵の初めての1から2への細胞の分裂活動だったのでしょうか。
精子には意志があったのだと信じたいわ。そして卵子にも意志があったの。
それは神による計り知れない意志の賜だったのです。
神の意志の見えざる手によって、天地創造から46億年の時を経てついに精子と卵子は一つに結合したのです。
この精子と卵子の受精という計り知れない不可思議な神の問題を、人間の脳で解く事が可能になりました。
万物の事象は神の頭脳の中でのシナプス状態の形状で、受精卵を想像しているのです。
全てに人間の脳神経と60兆個の遺伝子細胞、それこそが人間誕生のアンサーなのです。ああ、アンサー、それは万物の安らぎでした。
人間誕生のアンサーを心と体で理解する時に、これで人間がやっと人間らしくなれるのです。人間は60兆個の細胞全てに誕生時の記憶を再現できるのです。
神の視点でこの世界に誕生させてください。さあ、私は誕生いたします。
ひらひらと降臨している神の子を私の細胞は必らず発見してみせます。
私は自らが神の子だとわかっているはずです。神の子の誕生とこの世界での私の誕生とは、いかに関係していているのかがわかり初めた。
何という私の隣で神の子の受精卵がすやすやとお休みになっています。
ああ、受精卵である私が神の子を抱いているのです。
この嬉しきめでたい日に誕生する、未知なる不可思議な生命にどのような感覚を抱くのでしょうか。人間の脳ってどのようになっているのか、その時神の子が教えてくれるに違いありません。
神よ、私をじっと見つめて助けてください。神の子よ、この世界の私の生命を5感の襞の中で感じてください。本当にしっかりと私の記憶は、神の子の御姿をとらえているのですから。
この世界に降誕した神の子をこれで認識できるのです。神の子の60兆の細胞は本当に生きているのです。
私、世界で初めて感動して全ての記憶を無にしたのです。ああ、私の生命は安心して生きていけます。神の脳が思考している私の御姿こそが、神の子の降誕なのですから。
私の苦労はこれで報われたのです。あなた、これでよしとしませんか。これでいいのではありませんか。だって私は神の子の誕生を感覚できたのですから。
神の啓示で私が選ばれたのです。この世界で選ばれた神の子だったのです。私の子は神の子で、私も神の子だったのです。この関係性をどのように説明すればいいのでしょうか。
私は信じている。神とこの世界での誕生との関係性の計り知れない、不思議な人生の筋書きという奇跡を。
私に起こる無為自然の森羅万象は、これこそ神の子の誕生の発心なのです。神の子として誕生させた不可思議な私に感謝しています。
私はこれから神の子になります。神の子は世界で一番神から愛されているのです。
この世界に私という全人類的な人間による全人格的な人間の傑物が創造されたのです。

誕生する

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-26

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