雲の生活

雲の生活

私にとっての雲とは、生活する上においてどんな意味を持つというのでしょうか。
雲の上に乗ってゆったりとたゆたい、彼方に下界を見渡す夢見心地。そこでどのような感情に浸り自分の人生を振り返るのでしょう。
人生はもう一度生まれ変わり、雲として優雅にたゆたい地球上に浮かび上がる事ができるのでしょうか。
私の存在は水となり地球全体に行き届き、姿を様々に変えて循環する事ができたのなら、さぞかし自由に自在で諸行無常に万物流転して、天と地の精霊と語り合える特権を与えられるのでしょう。
天の精霊の果てしなく広がる青空に清められた、精神性の変幻自在な魂の躍動を教えられる。
大地の精霊には地球上の暖かき懐の深い優しさを教えられる。
天と地はどこまでも伸びていき一つの統一性で究極に調和して融合し合い結婚していく。
その橋渡しの媒体として水という変身可能な生命体が、水々しく地球を全く純粋に単一に清め刻々と生まれ変らせていく。
今日は雲となって青空をどこまでもなめらかにスムーズに気持ち良く、地球の彼方まで続く地平線へと、夢想のままに思考がジャンプして地球を動かす事だってできるかもしれません。
世界各国の上空のジェット気流に乗って、美しい御国の全景は晴れ渡り澄んでいく、大地の遠くに遠く彼方へと憧れていく。
私は雲になって遠い彼方の存在へと、実存性を弱めて安らかに祈っていくのです。
海になって地球の円形を隅々にまで行き渡り、肌で地球の海の流動性を感じ、太古の生命の原始細胞が打つ鼓動の音を聞くのです。
そして私は海洋深層水になって、深い生命の原始の万能細胞が分裂する時の音を聞きたいのです。
ほらっ、最初の生命がもうすぐに誕生するよ。
私の水は太古から柔軟に変形してきて、そっと私の水の時代がジュラ紀へと遡り今の時代を完全に忘れていくのです。
深層世界の青く暗い脱身しきった究極の安らぎに、完全なる母性の平和性と共存性の栄光に一つの受精卵へと生命の根元に立ち帰る時、万物は意味の無い空の存在になっていく。
次は雨になって完全に心身は無重力となり、全神経を大地に委ねられさわやかに癒されていくのです。体から重力が抜けていく安らかな感覚が本当に私は好きです。
雲から雨へと変化する時の絶妙なる存在に濡れて水々しく潤っていく、何ともいえない神妙に原子構造が変化する、その時の初体験の生まれ変わりの触感が何とも気持ちが良いのです。
そして地球の重力にひたすら甘えて全てを受容的に解放していく。私の細胞を一度解放して再び組み合わせていく、このかつてない脱皮をして新しい地球を知る嬉しさに今飛びます。
私はまた大地に降りて地球表面の美しい自然の中を旅する、新しい次元の平和に満ちた幸福を体験する、それを青春と呼べるのかしら。
地球の森、大地、草原は自然の精霊達との暖かい精神の超越化の和らぎに存在する事を感謝しています。
地球の素粒子から成る生物は何てエレガントで神に愛された原子構造に逸して、不思議な細胞分裂を繰り返しているのでしょう。
血流となって人間の遺伝子の内なる深層の神蔵部を探り、「わおーっ」の感銘を受けて至上の愛を体験したのです。
そして私は川になっていくのです。水はとめど無く流れ続けて全てが移り変わる時、青空が変化するこの心はまさに清らかになっていく。
存在が完全に清明に何も無いまま全く澄んでいる心は空である。
私の内なる万物はいつでも変化していく事を、いつでも全く新しくなり続けている事を知るのです。
私の全身全霊は清められて、存在は完全なる完成形へと到達して逸していく。
ついに私の生命は母なる海に変容して、広く大いなる地球の源流へと還ってきました。
無限に変化し続ける私は、本当に地球の変身体としての存在性を、体でもって体験してきたのです。私は本当の水になって、次は地球の大気圏を離脱して、もっと宇宙の遥か彼方へ行きたいこの夢を叶えるのです。どうすれば限界突破して、宇宙へと超越できるのか。
そうだ、神の手ですくって頂いて天へと昇り、広大無辺な宇宙に連れていってもらいましょう。
私の全人生の集体性としての経験は、こんなにも神様から祝福されていくのです。私の人生は宇宙に流れる水なのですから、とても万物が超越して集約されていくのです。私はこれでいい。これで。

雲の生活

雲の生活

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-26

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