舞

少女は初めから空を飛びたかったのではないでしょうか。
神を知らない人間にとって、未知なる世界は少女の青空に指し出した手にあるのです。
この世界の遠く彼方の天空に浮遊したい衝動に駆られた少女が窓越しからひそやかに空想する。その青空へあどけなく浮遊していく、先の未来に無重力のあなたに会えたら、私は何て嬉しいのでしょう。
青空は何て美しい爽快な調べを奏でるのでしょう。
少女しかたどり着けない人類の未踏の地平線から、明星は日の出をぱっと迎えて天空へとふわっと浮上させる事ができるのです。
あなた、なぜ空を飛べないのかしら。
この世界はあなたの想像力で何でもできるのですよ。
人類で初めて大空を我が物にして飛翔してみませんか。

この地球が創造されて以来誰も発見できない神の方程式による飛翔の仕方を、少女は青空の中でじっと1人考えている。
この日々の飛行訓練の努力に、今日ついに少女は地上を離れて人生をふわっと浮遊させる感覚で無重力状態に、心身の素粒子を純性スロットルエンジン全快にする若かれし時代に帰った、私には何だってできるのです。
この世界は何て素晴らしい喜劇なのかしら。
私だけに教えてくれた神の教科書の第二楽章で扇子が舞い散る不可思議な空中の道筋に、青と白の扇子が美しく孤を描き芸子が舞っていくその先に、神の美しい手があるの。
その手の中に私の肉の魂を許して、葉桜が舞い散り日本舞謡を歌い上げて可憐に上昇していくのかしら。
神から浮遊の方法を伝授された少女は、この世界でたった1つしかない舞いに、神をもて遊び楽しませるというのだろうか。
神にもできなかった。少女は空中に飛翔しながら、神掛かり舞う天地創造の神技。青空を舞謡の場の舞台にして、天と地に美しい星を輝やかすのは、少女の仕組んだ事なのか。それとも神の仕組んだ事なのか。
誰のために、この世界の人間は存在しているのか。
少女は青空にひっそりと浮かんで何とも突き抜けていく爽快さに天空の鳥になった。この世界の最も居心地の良い、私らしい居場所へと帰っていく。そして人生の意味を見つけたのですね。
ようやくたどり着いた少女が創造した人生の舞い。人間の心は身体を離れて脱身し抜けて昇っていく。もうすでに遠く彼方の高い青空を飛んでいたのです。
少女は青空の中で重力から完全に解脱して全く新しい心を感得し、神になりきって可憐な体の曲線美がすらっと流れてしなやかに描いていく。
「超越しなさい」とあなたが言ったその意味を今やっと理解いたしました。
今ではこんなにも美しく優雅に舞える自分になりました。こんな私をあなたは抱いてくれますか。
神はその時少女をずっと慈悲深い眼差しで見つめていました。
青空をその少女はただ真っ直ぐに見つめて、その先の神のもとへと真っ直ぐに手を指し伸べて、そのか細く美しい手の上には、温かな幼い日々の自分がいたのです。その少女の不思議な舞いのままに優しくいかせてください。
この舞いの世界に一本真っ直ぐに続く道があるのなら、それは神の手の上での現象なのだわ。
そこから初まる新しい人生に、舞の優美な宇宙の深部に神が宿り守られるその気持ち、そう、そうなの、私ときめいています。
この奥ゆかしい少女が醸しだすいとおしさに、あなたはありふれたメッセージしか送れないのだとしたら、私が神の子になり青空に葉桜を優雅に舞い散らせましょう。
そうして時代の子が進化するのです。さあ、この青空に神のアイドルが誕生したのです。
神技の妙なる手つきで変化して人生を目映く表象化し造形の深い完全なる方程式で、神がシンプルに明解にそこには存在している。
こうして神を舞う乙女の変化し旋回する御姿。天から選任を受けた統一場理論の創設者になり、この夢の中のうつつにはだけて観客はただそんな少女に憧れていく。
どこにもいかないでお願い、世界を頂戴、その舞いを私に教えて下さい。
あなたのような未知なるひらめきを発する希望の星しかいらなかったのです。
こうなるのは神の予言通りで少女はふっと軽やかに舞い上がりすり抜けていく。これが青空に浮遊する少女の軽やかさだとしたら、神もうっとり憧れていくのです。
少女の青空の舞いは不思議な色とりどりの輝きを発し明滅して、ふわっと人間の考えつかないアイデアをだしていく。
そして少女は自分のその驚異の才能を知り、そっと最も人間離れをする感性でとっておきのアイデアを空中に浮遊させたのです。
ああ、この地上の楽園に奇跡が起こった。
そうしてこれから新しい人生を初めましょう。私、助けるから必らずあなたは幸せになりますから。
少女は生まれて一番に幸せな舞を舞う、青空の主と語り合い、さあ、天に昇る心身の絶対なる神への大いなる感謝に、我を完全に忘れていきます。天国、これ程幸せな事があるでしょうか。