愛

少女はそっとふんわりと浮遊感を持って宙に優しく浮かび、教会の鐘の音を柔らかく浮上させながら、御手を神にそっと風に触れさすのです。
少女は愛の実感を抱いて意志の存在証明を行おうと日々の鍛錬し修行に励む。
修道士よ、世界を創造する方法を教えて下さい、お願いします。
そして私の肉体をもっと大人の美しく熟れた肉体にして下さい。この世界にもっと男と女の肉体美が絡まり合う雅やかな想像を駆使して、肉体の結合の仕方を変えて下さい。
私の浮遊感、逸昇感。それは女神の美しいマリアの愛のひだに甘えて、夢遊感に包まれてじんわりと寄り添い、存在を逸して全てを無にしていく。
天使達の行進は元気良く自信を持って、私としっかりと手を組んで前に進んでいき、夢のまた夢の最上級の美的なイデアにときめいた。この嬉しい儚さにこの世界に無情なんて決して感じてはなりません。
世界はこの清められた少女の為にあるのです。
少女はほっと誇らしげに、青空に流れる雲の間から天上の天使達が舞い上がり飛翔し交う可憐な姿を見つめている。
あなた、信じて下さい。私を信じて下さい。
私とあなたはこの天空に飛翔する優美な天使達と可憐で華麗なダンスを披露するのです。
天使と優雅にダンスをする私達はそのままに生まれたままの高貴な人格を形成していき、私が知らないうちにあなたはアイドルになったのです。
私にも伝えられない秘密がありました。
あなた、私の胸の内のこの嬉しいときめきをおわかりになるでしょうか。
地球にアイドルが誕生したのです。
私のアイドル。それは私の人生に生きるときめき、喜び、期待、嬉しさなのです。
私の寂しさをそっとほらっ、天使の柔らかさで優しく癒して下さい。
あなた、お願いをします。この世界で天使とダンスをする神の御子よ、さあ、今こそ立ち上がれ。
この世界にもひとつだけの夢のまた夢に酔いしれて、春の爽かさに溢れる暖かな日射しの中で、少女は海辺にきらめいて涼しげに立っていました。
人生にまだできない事なんて初夜を迎える少女には無かったのです。
そっと海に長細く美しい御手をかざして、海の水をそっと天へと持ち上げ昇らせていく。
これから少女は造物主から愛の天啓を授けられ高貴な女性になっていくのです。
そのか弱い乙女は神に選ばれ天啓を授けられ光り輝く万物の創造を行う神女へと生まれ変わらせた。
未来を希望に溢れる幸せな世界にしてみせるのです。

少女の前には威厳に満ちた修道士が現れたのです。
修道士の存在が愛の結晶に凝縮されていき、いってはならない神の全知全能の世界へと連れていく。高貴な修道士の人格に惚れぼれして、ついに私は体を許してしまう。私をどうにでも持て遊ぶあなたに、天才による精神の自由自在な動きを感じるのです。
この世界に天空の教会を初めて設形した人物の人柄を想像してごらん。
天空の教会にはきらめく何兆ものひらめきのパターンの天才性が生きて存在しているのですね。
少女は想像した事が、この世界でその通りとなり見事にうまくいったのが嬉しくなり、そっと走り始めるのです。
私の天性に流れる美的な感性がそっと神から愛される時、天使になって宙に浮遊してもっと愛されたいのです。
神と手が触れ合うその可憐な愛の姿に、私の生まれたての心が昇天していく。
私は許し許されて神の人体の模型になっていく。天空から響き渡る美しいカノン。ほのぼのとしたこの淡白い世界に、天使の合唱が安らかに澄み渡って聞こえている。
その聖なる合唱団の一員に加わり、私は讃美歌を歌う神聖な存在となった。神に愛されている事が証明され、ほんの少し他の人と違う少女になれたのです。
私は少し違うの、それが嬉しいの。ありがとうと神に感謝する。
宇宙にたった1人だけの少女の生命があった。
少女の意志はもう一人の少女の意志と結合していき、1つの生命が新たに誕生するのです。
少女は全く新しい生き写しの少女を作ったこの生命の誕生に、これもまた人間の生命の奇跡なのかもしれません。
時は巡り、私は老化していく。でも死なない、私がもう一人の内なる私を絶対に死なせないから。
この世界での男と女による性愛とは本当にうまくできているのです。
人生で一番嬉しい事とはなんですか。新たな生命を創造する少年と少女の結合なのです。
神様、しっかりと見ていて下さい。
ふふっ、私達のいく所というものを。
これから私をお姫様にさせて、この世界の新紀元に大人の女性として迎えさせて下さい。
そして優雅に舞い上がり昇天する天使のような華麗な女性になりたかったのです。
私の天使への螺旋階段は、一体何処にいったのかしら。
天使、天使、天使、私の天使は何処にいるの。
まあ、何と天空を見上げればそこには目映く光輝く天使がいたのです。
私は、例えようもなく安心いたしました。
さあ、心は飛翔して世界は昇天する。私はこの世界のものではなくなる。
少女をあの薄く淡白い天国へとふわっといかせた、そしてあなたにいかされるのです。
少女にも1つだけ知っている事がありました。
あの懐かしい儚く淡い天国の時空の大きさというものを。天国はとても大きいのですから、安心していってください。
少女はまだ知らない修道士の後姿というものを。この世界を創造した時の修道士の優美な姿を少女は知っています。修道士を愛の結晶で超越させてから私も超越していくのです。
もっと神の不思議さに移ろいゆくこのおぼろ月夜の中で、少女はそっと神に肩を寄せ合う。この例えようもない安心感を抱かせる拠り所をどのように表現すれば、少女という存在を繋ぎ留めておけるのでしょうか。
少女は神に愛されていると気づいた時、生きている存在はもう完全に昇天していく。この世界はどうでも全てが良くなるのです。
あなたは神の子になっていきます。そう人類に待ち望まれた時間が来たのです。さあ、昇天するのです。
あなた、ありがとう。私の存在、それはかけがえのない未来、そして自由。そして、今日も神と一緒にいくのです。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-26

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