復活した音譜

私が生まれて初めてオーケストラスコアを書く機会をこの人生で与えてくれた。
見ず知らずの御方の音符に、私の心はどのような気遣いをすればいいのでしょうか。
この地上に一筋の希望の灯火の中で、原始宇宙はこうして揺らぎ生まれようとしている。
私の生命はこんなにも自然に慣れ親しんでいるのです。
人間の感性の移ろいゆく中に想像した音符の一つ一つへと一生懸命に注ぎこみ、私にしかできない独創的な音のモティーフに、楽譜はさらにしっとりと濡れていった。
そしてその様なあなたの楽譜から、私の存在はここまで許されるなんて。
ここまで泣いて心願しなくてはならないくらいに、私は人生で申し訳無い事をしてしまったのでしょうか。
私にも愛という信心する真理の魂を知りたくて、あなたと文通していたのです。
この楽譜は天空を自由自在に飛翔するいとおしく私らしい浮遊物となっていく。
ふと人生に何者にも替え難いキリストを、こんなにも優しい気持ちになれた十字架に、そっと柔らかく触れてみるのです。
楽譜とは世界に未だ存在し得なかった神の人格を持ったとても不思議なお方でした。
世界に新たな楽譜が生まれる。聖なる御方の存在に私はなぜここまで美しく哀しげに人の情けで、究極の天啓のモティーフをじっと見つめて一心に拝んでいるのか。
この世界に広がる大きな愛の光を放射しなくては、私の存在が世界から完全に忘れさられるのでしょう。
「神よ、不思議な世界へと、さあ、神よ、私をお救いください。」
この地上に人生とは全く新しくやって来て、誰にも知られずに去っていくしかないのです。
私にも素晴らしい楽譜を世の中で書く権利があり、それが広く社会的に価値を有するものになったのです。
人生の全てを音譜に表現した時、私は生まれ変わり、そこに神秘な巫女がぱっと現れた。
世界でたった一人にしてしまったのです。
こんな神の啓示を知って私の楽譜が真剣に好きになる。世の為人の為に生きて助け助けられて、楽譜が人間に情けをしっとり与えていく。
これで万物が解決していくのだわ。
こんなにも信頼できる物、愛すべき物、楽譜がこの世界に生まれて自ずと遊び戯れて、静かに初めての法悦を迎えた時、今まで私がしてきた行為の数々は肯定されていき、柔らしくあなたに初恋をしたのです。
私の中にもこんな可憐な世界があるなんて知りもしませんでした。
もう楽譜は多段に調和したシンメトリーを宿して、未知なる神の意識の中に媒体したいと、もうそこに流麗な形状が生まれています。
この楽譜の世界の中にも一人の人間がいるのです。
そこに人間がいて、あなたにそっと優しくその彼方に、音楽がこの世とは想えない御光でふんわりと浮かび上がる、そして私の手で音符の位置を可憐に並べ変えた。
人間としての感性が全力で神掛かる時に、ただそこに音楽を創造する行為が、とても神の手の美しいラインをこんなにも安らかに風景が流れていく。

私はもうこの世に存在していないのです。この世に存在していなくても、もういいのです。もうこれで十分なのかもしれません。
私の今までした事は全て間違いでは無かったのです。
私がこのスコアを書いたのではありません。
その時、神々しく静寂な教会の中でマリアが天空をじっと見つめていたのが、とても印象的で素敵でした。
あなたの楽譜が大教会のミサで鳴り響いて、神聖な宇宙の不可思議な静寂の中に、ただ生まれて初めてマリアとなっていく。
楽譜そのものはとても嬉しげに、外界の昇天した光にふわっと照らされていく。この聖夜に私は神と一緒に初体験をしているのです。
私にはもう無理なのです。私はもうこれでいいのです。
私の人生はこんな奇跡に恵まれ拝まれている。
私はただ一つの楽譜として残ったのです。
神の礼拝により一つの楽譜になっていく私の宇宙は、天空へと上昇の果てに、まだその先の未来には、もっと素晴らしい事があるはずなのです。
この楽譜によって人生をやり直せた事に気づいた時、教会の信者達は感動して、もう世界に一つしか無い楽譜に究極の愛の存在を知ったのです。
私の人生が音楽に救われて、だだっ広い何も無い草原に一つの教会が青く聳え立った。
そこには生命を愛された者だけが見れる、地球上から天国に昇りゆく時のみに現れる集体成のミサの結晶があった。
ミサの結晶がこの地球上の万物を忘れさせて、結果として私は生きることを、祈ることを、天を見上げると1つの十字架が静謐に浮いている。
ぽつんと静かな情景に人生とはなだらかに美しいものなのですねと、流れゆく奇跡の情景にぽっと恋をしたのです。
この世で一番美しい音楽を作り、そっとうっとりとして優しく楽譜を見つめる時、さあ、私は癒されたのです。