スコア

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人間とは何の為に生命をしているのか、誰かこの意味を教えて下さい。
私は一体何の為に本当は生きているのでしょう。何の為にこのような人生を生きてきたのでしょうか。私は生きていて意味があるのでしょうか。
少女はオーケストラスコアを見て、この世界の成立過程を考えている。
多段のスコアの中に人生経験を集体成しようと、少女は世界を深く想う。なぜ神から至練を与えられ、それを乗り超えてこの至練への解答を提出しなければならないのでしょうか。
神はどんな生命倫理の模範解答をスコアに反映させて、私の人生をここまでさらけ出さなくてはならないのか。
少女自身の人生経験の意味はこのスコアの音符によって正しさを証明し、素晴らしいチャンスが与えられて、崇高なる精神世界の人生の結論を提出したのです。
神の至練に最も完全に美しいスコアを示している。この至練の意味に社会的価値のある人間へと向上させて救える存在となり還元する。
オーケストラスコアは音譜を生き物へと変化させ、嬉しそうに生まれて初めての生命感を感じ、生き生きとして初体験の潮の薄く広がる朝焼けの情熱の中に、静かに沈んだ波の心になった。
己を死までもう少しの状態まで追し進めて、この世界を完全に忘れて、もう宇宙でただ一人だけの存在となり、オーケストラスコアに生命の灯を燃やすしかないのです。
私の生命は本当に何処に存在するのでしょうか。私のオーケストラスコアがこの世に初めて誕生する静かな時空を観察している。
この子は本当に産声を上げているのだわ。これから私がこの子を手助けして育てていかなくてはならないのです。
この子は世界に見られたがっている。オーケストラスコアの楽譜の中に、降誕した幼児が生きている。この世界に誕生して嬉しそうに微かに、朧気に、己の意志を感じふっと表情をゆがめたのです。
この子は、生まれた時は、こんなにも素直で嬉しそうに世界の初めての情景を見つめて、うるうると感動していたのです。
私は知りもしませんでした。
この子の誕生する時の心の有り様は、泣き叫ぶ生命の悲しく薄らいだ心の移ろいに、爽やかな中心像が、こんなにも生きていたのです。
自分自身をあまりにも知らないこの楽譜は、ただそこに私に創造された不思議な静けさで、ぽっと神の光に照らされて、こんなにも美しく佇んでいます。
この子は誕生して本当に良かったのです。
作曲家が想像したその創造の静寂に、自分のもう少しの微かな愛の情熱で、手の平から生まれたばかりの音符が生きた音楽を奏でる。宇宙に響き渡る新しく誕生した音の色彩があった。
私の音符達は作曲者を信頼していました。
この世に誕生させてくれた事を深遠なる静けさで感謝して、ただただ澄み渡った心の定常波のおとぎ話に想いを馳せて、音楽がまさに今世界に誕生する。
世界は、こんなにも美しい存在を、ここに存在している今に、ただただそれだけで生まれて生きて死ぬという行為に、そっと母なる故郷への想いを捧げる。さあ死にましょう。
いいえ、さあ生きましょう。
人間の心を動かすその感性の宇宙の中で、私は音譜を誕生させた。音符は空中に浮かび私の存在をいとおしそうにして寄り添っている。そばに来てしきりに甘えてくるその時、私の存在は忘我の境地に無くなっていき、世界の全てから忘れ去られていくのです。
初めて感じました。私は音譜に愛されてただ一つの孤独の中に、自分の心を静かに問う時に、意味があったのだと、ただ自分の存在定義に意味が、さあ未来へといきましょう。
音譜がこの世界に死んでいき生まれていく私の存在を、ただ静かに遠くの岸辺からそっと眺めるしかないのです。
私の音譜は魅力的に周りを美しく輝かせて、孤高に高く昇っていき、神々しく可憐な音楽は世界を見渡して飛翔していく。
この世に生まれたばかりの音譜は、さらさらと空中をスムーズに流れていく、ああ私よ今まで生きてきて良かったのです。
私の内なる世界の音譜のラインが私の宇宙となり、そのいとおしい存在がこの世で最も安心できる御姿になった。
もうこれで、この世に私は生きなくても良いのだと思い感動しているのです。
一つだけこの世界に完成した音楽が存在している。私はただこの今音譜が神々しく輝き放って昇っているのです。
私の存在は両手に広げてただ昇天していく音譜を、心を一つにして拝むしかないのです。
この世界はもうこれで、このように完全に無我で何も存在しない。もう私の想像したオーケストラスコアの音譜は、昇天して天国で安らいでいるのです。
これで安心して天国に行く事ができます。この世界は天国となったのです。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-26

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