麦畑

少女は一体この世界の何処にいるというのでしょうか。
黄金色に光り輝く草原に人生はふわっと舞い降りて、ぼんやりと日の光が明るく私の肉体を照らす。
全ての重荷は完全に神の手で取り除かれて、宇宙で唯一の金色の空に満たされていく。不安を取り去ってこの世界が明るくふっ切れるのを脳が感じる時、美しい少女の肉体はもつれてほぐれ解逅に変わる。
全てはもうこれでいいと思えてきて、金色に輝く麦畑で生命の粒を一つそっと食べてみる。
内面が神の金色の明るさで清められて心は一新していく。細胞が私自身に転生を促して全く新規の蘇生作用を起こし、たちまち天空のまっさらな心になっている。私の血の中には神がいたのです。
金色の麦の収穫の時期が来ています。新たな生命の恵みの循環に感謝して、両手で一杯に豊穣の麦を抱きしめる。
神の真理は麦の生命の祈りと巡礼に満ちていき、この生命の全ての循環サイクルに精霊の命を注ぐ。ほらっ、新しい芽が金色の大地の中に宿っている。
春夏秋冬の繰り返される生死の営みに、生命のバランスを保たなくてはなりません。
私も麦と同じように生命を感得し、天国に伝達する洗礼者として、金色の大地に一人立ち、天空をじっと見つめて、ただ泣いて感謝するしかないのです。
麦は生死により命は受け継がれていき来世に夢を繋ぐ時、私の命はこの世で無為ではなかったのだと知って、これ程までに嬉しい事はないのです。
生命は麦と同じように黄金色に発酵して熟していき、世界の新しい視覚を感得していく。経験を積んできた人生は結晶性知能の集体成を感じて、この新たなる変化の中に、麦は自身の生命の役目に気づいた。人生に一つの大事な成果を残すために、生きて死ぬ機会を与えられるのです。
少女は麦のように死んでいき、血肉がなくなり骨だけになった骨格標本を想像する時、人間とはたかがそれだけの事なのですねとふっと思う。
いかに人間の心は悟りを感じる事の意味を知り、悩む意識の有り様に、自身の存在している理由を立たせて、もうこの世界で苦しむのをおやめにしましょうと、ただ広大無辺の宇宙を一人で見つめるのです。
光輝やく黄金の麦達に囲まれて、私の意識は本当の自我を確立して、強くしなやかに生きる意味を知れた時、感謝して生まれ育ったこの大地に十字架を厳かに立てるのです。
なぜ生きているのかを麦自身に聞いてみた時、はっとこのような地球上での雨風露に耐え忍び、自然からの愛の至練に耐えてきた。宇宙にあなたの全てを預けて人生の意味を理解するのです。
万物の生命が連関している自然で、少女の生命が解逅を迎える時、神が私の人生に意味を持たせた。
麦は嬉しくなって太陽に向かって元気ですよと手を大きく振るのです。
太陽が昇り沈む人生における自然の摂理よ、この真実にどのように生命の営みが繰り返されていき、日常の雑務をさらりさらりと軽やかに流す事ができるのであれば、私はどれだけ楽なのでしょうか。
小さな若い芽が成長して金色の大麦が満面に実っている。この至練に耐えた生命だけに与えられるご褒美。私の人生がこんなにも祝福されて、金色の光の中でうっすらと神は手を指し伸べたのです。神の光が地上から昇天していき、辺りは救いの黄金色に総てが報われて、大地に優しく麦がひっそりと揺らいで明るく祝福している。その時に自分の人生の意味を知ったのです。
さあ、人間を全て許していきましょう。私も人間に許されて来たのですから。
黄金の麦達が一斉に私を祝福している。この世界に人生の全ての重荷を降ろして神の降誕の準備を行うのです。
麦達は一斉に神の降誕の準備ができています。神々しい光が地上に広く澄み渡り揺れている。
その生命エネルギーの光がまばゆく私を超越したオーラで取り囲んだ。
そしてこの世界の全ての罪を取り除き、神が大空の光り輝く愛の彼方から現れた。
神は人生に最も完全な宇宙を、全生命に生きる夢を与えた時、私にもこんなにも超越した光輝く愛の時空が満ちていき全く感動してそっと泣くのです。
生きる意味にはっと気づいた時、私はこれから真っ直ぐに生きていけるのです。
今神から気付かせてくれた。人生で生きる意味を、私の事をこんなにも想ってくれていたのですね。知りませんでした。この世界に神から愛された美しい子がいたのですね。
人生に光を与えた、私にも届いた金色で一筋の神の光。辺りの麦達が一斉に讃美歌を奏でられ大空に上昇し我を忘れ、辺りを黄金色で満たす。全ては究極の光で上昇して完全に心を超えていった。ついにこの奇跡の光景に、神は無重力で全てが浮遊していく。
麦達よ、何という美しい調和した御姿で超えた光の状態に、万物が浮遊して新紀元の到来が至上の時空に、究極が、頂点へとああ昇天していく。
そして、麦達は神の子と共にずっと天国へ向けて一直線に天昇しそこに立っていた。