REPLAY 第3章

REPLAYの第3章です。
私も霊感はあるほうなので困ったもんです。
幽霊が見えるのは、怖いというよりも孤独です。
誰も信じません。
それは、当たり前です。
見えないものが存在することは怖いから。


 第3章 芸術家 

男が医療用ナイフを持って笑っている。
女性が椅子に縛り付けられ、もがいている。
女性は泣き叫んでいる。

(((嫌、死にたくない、死にたくない、ヤメテ、ヤメテ!!!
先生、お願いヤメテ・・・!!!!

女性は僕のほうを見て叫んだ

((犯人を殺せぇぇぇえええ!!そこで見てるなら早く殺せぇぇぇええ!!

「来未!?おい!!来未!!??」

ユキに名前を呼ばれ僕は戻った。
まるで、フラッシュバックするように映像が見えた。

「何か見えたのか!?すごい汗だぞ・・・!」

『先生・・・・・』

「は?」

『佐伯は、先生だ、何かの・・・・。キャンバス・・・・
モナ・リザ・・・真珠の耳飾の少女・・・・芸術家・・・。』

僕は考えた、これは美夏さんのメッセージだ。
僕に何かを伝えようとした。
彼女は怒りの渦に落ちている。
最初のヴィジョンで僕は美夏さんだった・・・。
そして次は恐らくまだ起きていない事件の被害者。
佐伯は自分を芸術家だと言っていた・・・。
たしか美夏さんは大学生・・・。
ネームプレート・・・・・。
((紗江陀造形大学・美術工芸学科))

『結城さん!美夏さんの通ってた大学は!?』

「確か・・・・造形大学・・・紗江陀造形大だったと思うが・・」

『やっぱり・・!!』

「やっぱりって何がだよ!!」

そうか、僕には見えるんだ、聞こえるんだ、
死者の声が・・・・!
そして、美夏さんは僕にメッセージを送ってる!
もう、これ以上被害者が増えないように
次の被害者は、高校生・・・・。
どうして高校生・・・?

『結城さん、紗江陀造形大に佐伯という美術工芸学科の
教師はいないか至急調べてください!!』

「あ・・ああ!!」

『ユキ、犯人は恐らく造形大の教師だ、次に狙われているのは
高校生・・・でもその高校生との接点が分からない・・。
今までの被害者を詳しく調べればおそらく全員が
どこかの造形大出身なはずだ、でも彼女は高校生・・・・。』

「・・・その子、紗江陀造形大を志望してるんじゃないか・・?
例えばオープンキャンパスとかで知り合ったとか・・・。」

『それだ!!!ユキお前最高!!!ありがと!!!!』

そうか、その可能性は高い、志望はしてなかったにしてもオープンキャンパスの
可能性は高い。
造形大を目指すなら、例えその大学に入らないにしても
美術の勉強にはなるはずだ。
なんらかの理由で彼女は紗江陀造形大に行った。
そこで佐伯は彼女を見つけターゲットにした・・・!
後は、証拠だ・・・・・。

****************************

大きな部屋に電話が鳴り響いた。
それは、僕の能力を証明する電話。
結城警視総監はその電話を受け取った。
彼は喜びの笑みを浮かべた。

「来未君!!いたよ!紗江陀造形大に佐伯幹夫という男が!」

僕は今までにない達成感を覚えた。
こんなにも嬉しいことはない、おそらくそいつが犯人。
僕が見つけた、僕の能力が犯人を見つけた!!

『はっ!!結城さん!その造形大にうちの高校の生徒が
オープンキャンパスとかで行ってないか確認できませんか!?
次のターゲットはうちの高校の生徒なんです!
あと、今までの被害者の出身大学は全部造形大のはずです!
確認してください!!!』

「わ・・・分かった!とりあえず、清川にも連絡する!」

そう言って、彼は忙しそうに部屋を飛び出した。
後になって、警視総監を顎で使うような事をしてしまい
身震いした。

「す・・・すげぇじゃねーか!!来未!親父を顎で使うやつ初めてみたぜ!」

『ちょっ!ユキ・・・!顎で使ってなんかないよ・・まったく、恐ろしい事言うなよ。』

******************

被害者の出身大学は、やはり全員が造形大だった。
今まで教え子だった生徒を殺しているようだ。
しかし、次は違う、うちの高校の3年。
名前は串間柚子樹。
国立の美術大学を志望する受験生だ。
やはり、紗江陀造形大のオープンキャンパスに行っていたようだ。
すぐさま、彼女を保護し、今後意向を考えているところだ。
僕のヴィジョンでは証拠にはならない。
なにか、物的証拠さえあればすぐにでも捕まえられるのだが・・・。
この事は内密になっている、知っているのは僕以外に
ユキ、清川、結城さん、結城さんの部下数名。
いや、まぁ、結城さんからすれば警察全員部下になるんだが・・・。

考えていると、またベルが鳴り、メイドが清川を連れてきた。
息を切らして僕の許に来た。

「お前、妹のヴィジョンをみたのか!?犯人見つけたんだろ!!
殺してやる・・!あいつを許さない、絶対に死刑にしてやる!!」

先ほどの様なクールなかんじは全く無く、取り乱していた。
家族が死というのはとても辛い。
しかも、殺されたとなると悲しみは倍増し、その悲しみは
犯人への憎しみに変わる。
僕もそうだった・・・・・。

『お・・落ち着いてください!清川さん!!犯人は見つけました・・。
でも捕まえるには僕のヴィジョンだけでは無理なんです。
協力してくれますか?そして、僕を信じますか?』

そう言うと、清川は我に返り言った。

「さっきはすまなかった、もうお前の能力を信じざるを得ない。
ここを出てから被害者をもう一度一から調べ直した。
俺もさっき電話がくる前に被害者の関係性を見つけた。
そのすぐ後に電話がきて、俺は本当なんだって気づいた。」

『そうだったんですか・・・そういえば・・どうして僕の話が
夢だと分かったんですか?』

それだけが少し僕の中で引っかかっていた。
僕の話を聞いただけでヴィジョンだと分かったなんて・・・。

「昔、警察が霊能力者の女を雇った。やつは偽者だった。
デマカセばかり言って捜査を撹乱させた。過去にたまたま
殺人者を見つけて通報した、それを霊能力だと言って金儲けを
した。そのせいで俺の部下も何人か死んだ。だから霊能力者は信じない。
アイツもお前みたいな根拠のない話をベラベラ喋る奴だったからな!」

そういうことか、だからあの時、ヴィジョンだって分かったのか。
昔出会った霊能力者は偽者だったから
もしかしたら、こいつも霊能力者のフリをしているんじゃないかと
疑ったのか・・・。
当たり前の疑いだ。

「クルミはそんなヤツじゃない!クルミは本物だ!!
根拠のない話なんかじゃねーよ!」

ユキは怒ったように清川に言った。
ユキもユキで、どうして僕をそこまで信じるのだろうか・・・。

『ありがと・・・ユキ。じゃあ、信じてくれるんですね?清川さん。』

「・・・ああ。」

『清川さん・・・串間さんを守ってください。』

次の被害者は串間さん。
なんとしてでも守らなくてはいけない。
美夏さんが教えてくれた大切なメッセージだから。

『美夏さんは、事件を止めようとしています。それで
僕にヴィジョンを送ったんです。』

「・・・美夏・・・・・。」

清川は悲しそうな、嬉しそうな複雑な表情を浮かべた。

*************

大学の広い教室に僕はいる。
佐伯先生はもうすぐ来る。
すると、ドアが開き後ろから男が僕の口を
抑えた。
「さぁ、美術の授業を始めよう。」
男は僕に呪いの言葉を吐いた。

そしてドアは大きく開いた。
銃を構えた清川を先頭に銃と盾を構えた沢山の
警察官が入ってきた。

「これで終わりだ!佐伯!!ナイフを捨てて
手を上げろ、さぁ早く!」

カシャン・・・・と音を立てて佐伯はナイフを床に捨てた。
そして両手を挙げた。
清川はすぐさま駆け寄り犯人に手錠をかけた。

「18時23分、佐伯幹夫、連続殺人の容疑で現行犯逮捕する。
お前には黙秘権がある・・・・・・」

清川は取り調べや裁判について台詞のように
犯人に話し続けている。
僕は、勝った。
殺人犯に。

僕は串間さんを助けるために囮になり、串間さんの格好をして
犯人をおびき寄せた。

REPLAY 第3章

面白かったでしょうか?
急展開すぎたかもしれませんね・・・。
すいません・・!
お話しはまだ少し続きます。
あと少し、付き合っていただければ幸いです。

REPLAY 第3章

REPLAY第3章! オカルトホラー系サスペンスです! 殺人現場の写真を透視した少年が見たものとは!? 連続猟奇殺人を止めることはできるのか!? 是非読んでください^^

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-26

Copyrighted
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