天使

天使

宇宙を飛翔している遊泳者の人体模型を、実際に模写していく天の川の中。
地球の金色の麦畑を1人で浮遊している。なんて美しい広がる金色の大地なのでしょうか。
そこに1人の少女が、飛行している私に対して、手を振って全身で合図を送り、自分の存在性を優雅に確かめようとした。
そしてぱっと両手を青空に広げるその細くて長い手の優しさ。
私は少女に向けて手を振って答えると、少女はにこっと微笑してその健気さに柔らしく立っていた。
少女の不思議な一面を見れて、私は嬉しかった事を素直に告白します。

あなたいかないでと、少女は私に名残を惜しそうにしてしくしくと泣いていた。
少女はそんな存在で気高く美しい天空を舞う羽根のように、そっと優しく何処かに飛んでいった。
少女は1人ぼっちでずっと飛翔している蝶々を見つめていた。
それが人生の仕組みだという事も知らずに。
少女にそっと知らせてあげてください。人生という一つの美しい物語について。人生はそれほどまでに生きる美しい意味があるのですから。

少女にとっての神とは何なのかを教えてください。少女にとって神とは、私だったのではないかしら。
少女の未知なる細胞が、ほらっほらっこんなにも微笑している。
あなたはよく見てごらんなさい。そこにいるよ。
そこに神がいるよ。あなたは、ほらっ気づいた。
神もあなたに気づいた。
神はそんな存在だったのです。
さあ、これでわかったのね。これでいいの。あなたはもうこれでいいの。あなたはもうすでに知っている、この人間を救済した奇蹟の存在を。

空が晴れてきた。空が晴れ渡る気持ちはどうですか。あなた、いい気持ちですか。あなた、神が味方していますよ。
それこそ神があなたにした奇跡、さあどうぞ大きくいきなさい。
さあ、何も心配しないで、さあ、お行きなさい。さあ、さあ、ほらっお行きなさい。
大丈夫、私がいます。あなたをお守りいたします。
こんなにもあなたは美しいではないですか。
そして、少女ははっと美しさの意味を知った。そして、天使になった。
ここは少女だけの宇宙になっていました。少女の宇宙、不思議。なんてみそらのそわかに美しかろう。
あなたの世界を教えてください。あなたといると私は、神とは何なのかを知れるのです。
そんなにも私は神に愛されていたなんて。神は私を見捨てなかったのです。

私はこの愛にもっともっと優しく神の手に添えた。
ああ、神はそっと私の手をにぎり返してくれた。
神はふわっと微笑した。知っている。真理を。真理が、ふと祈った。
こんなにも神の真理は美しかった。こんなにも平安に満ちているのです。
そっとしておいてください。そっとしておいて、私はもういないのです。
ありがとう、さようなら。

少女は神から選ばれていたのです。私には神がいてくれないと、一体どうすればいいのですか。
少女はかくして天使になった。私はやっと天使に癒されたのかもしれません。そっと大きくやわらかく私を見守るその天使をどう評価すればいいのですか。
あなた、いかせない。あなた、いかせない。
さあ、少女は許されて、天使になった。
そう、そんなにも溢れていく愛らしき天使。
ほらっ、天使になっていく。そう、そうなのです。
天使はやわらしいね。そうだね。ほらっ。

天使

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-26

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