魔術師達の日常 Ⅰ 中編
「2012年7月15日 日曜日 午前8:30」
今日の目覚めは最悪だった。
さっきから家のチャイムが立て続けに鳴っている。
「ピンポーン」「ピンポーン」「ピンピンポーン」
たまにリズムをとるのがまたムカつく。
今日は日曜日だからぐっすり眠ろうとしていたのに、この五月蠅い音のせいで起きてしまった。
居留守ってことで放置しているのだがこの雑音が2分間続いている。
どうやら相手はこちらの扉を開けない限り、この迷惑猛々しい音は止めてくれないようだ。
「ピンポーン」
クイズ番組の正解みたいに聞こえてしまった。
仕方ないから体を起こし扉の鍵を開けドアノブを引いた。
「...誰もいないじゃないか」
悪戯かよ。と納得して扉を閉めようとするが扉が閉まらない。
...なんだ?と思い下を見ると。
気付かなかった。だいたい身長は130から135かそれぐらいのちっさい女の子が、扉のドアノブを力いっぱいに引いていた。
とりあえずこのままじゃかわいそうなのでこっちの力を抜いた。
すると女の子はそのまま扉を開け、息荒く言葉を発した。
「まっ魔術委員会の物だが...ハァ...ハァ]
息荒く聞き取りにくかったが、「魔術委員会」と聞こえた。
何だそれ?宗教か何かか?
普通なら追い出すとこだがその女の子は今にも倒れそうだった。
仕方なくその女の子を中に入れた。
冷蔵庫を開き中にジュースか何かあるか探してみた。
とりあえずオレンジジュースがあったので、コップに入れ女の子のもとに置いた。
「おおお!気がきくな!!」と女の子はうれしそうに言いオレンジジュースを飲む。
「やっぱり日本のジュースは美味しいなぁ...」と女の子は鑑賞に浸っている。
とりあえず落ち着いたようなので本題に戻る。
「あんた誰?」と言うと女の子はすんなり返してきた。
「私か?私は魔術委員会№15のアガサ・エーメリー(Agatha・Amery)、君のお父さんの部下だ。」
部下?こんなちっこいのが?だいたいお父さんは魔術委員会なんて物に入っていない。だいたいお父さんの会社の名前はそんなんじゃない。
「お父さんから君をイギリスに連れてこいと言われてね。すまないが一緒に来てくれないか」
イギリス?おいおい俺明日普通に学校なんだけど?だいたい行き成りそんな事を言われても準備とかしてないし。
「俺明日学校なんすけど?」と当たり前のことを言った。
しかしアガサと名乗った少女は、顔色ひとつ変えずこう言った。
「だからどうした?イギリスなど30秒で着くだろ」
主「...えっ?」
ア「...ん?」
何を言ってるんだこのバカ?心の中で深く思った。
すると女の子は小声で何かを唱えた。
Πύλη ανοιχτή(ゲートオープン)
ギリシャ語か何かを唱えると、彼女の前に木製の扉らしき物が出た。
「なっ何だよこれ!!」
「ん?魔術だよ?君も魔術者だから知っているでしょ?」
しらねーし魔術者でもねーよ!!と叫ぼうとすると扉が開きだす。
「うおっ!まぶし!」
光が全身を包みだす。
俺はその光の中、気を失った。
魔術師達の日常 Ⅰ 中編