森の復活

森の復活

美しい調べは人生においてどれだけ必要とされているのでしょうか。
山は静かにひっそりと青く不思議な光を発している。
山にかさかさと八百万の神が、よちよちと歩いている宇宙の囁きが聞こえた。
八百万の神はほのぼのと灯を発して、宇宙を統一しようと、夜の青い森の中をふわっと浮遊して、山の木々の間をふわりと飛翔していく、なんと不可思議な音楽の調和なのだろうか。
ほの暗いうっすらとした森の中を鳥の視線により飛翔して眺める幸福感。辺りは何とも例えようのない崇高な儀式で神秘な祈りに満ちていた。
そっと木々が私に対して優しく語り掛けてくる。木々には優しい温もりの言葉があるのです。
それに呼応して私の体の未知なる細胞がぴくぴくと反応している。私と木々は対話をし合う暖かく優しい関係に包まれる。
私の全身は木々に寄り添い自然の大きな愛情にふわっと甘美に抱かれていく。

そしてこの大木の枝に泰然と佇むふくろうに挨拶をした。
私が「こんばんは」と言うと、それに対しふくろうは「こんばんは」と小さな声で返してくれました。
ふくろうは大きなまん丸の目を私に向けて、自分自身の存在を宇宙の知的な考えに総てを投げ出して、一心に天の川へお祈りをしている。
ふくろうと隣同士になって夜空にきらきらと優雅に流れる天の川へとお願い事をする。
自然を敬虔に崇拝する。宇宙に満ちる天の川の流れに従って人間の悟りに至る水のきらめき。
「ふくろうよ、あなたは天の川にお祈りをして、どんな願い事をささやかに成熟させて変容していき、この世界に実現させてみたいのですか。」
私にもあなたがしたように、生命の根元たる無の媒体へと、何かしらの頼るべき主を求めて探索している。広大な宇宙の中にささやかな生命の祝祭を見つけようとしているのです。
私の記号化された暗号の純真な祈りは、一体どんな形象文字の賜なのでしょうか。
生命は未来の時間軸を遠く彼方に広がる宇宙の軸に合わせていく。
森の最深部には動物達が一か所に集合して祈りを捧げている、大ミサを催している静寂な生命の感謝。
動物達は森の神を拝み生命の循環を感謝している。そして皆は主から啓示という希望を与えられ生きていく向上心を抱かせる。
そして自然界と宇宙界に満ちて漲る大きな気の循環を知った。宇宙に存在する万物は皆助け合って地球上の一つの生命は生きている。
一人では生命の暗号化の継続はできない事実を知ったのです。
森の神は大きな手を威厳に満ちて振り不思議な呪文を唱え始めました。
すると、私は森の神の子になりました。
動植物達が私に祝福の感情を表して、全身で宇宙に轟く合唱と共に広がる天に飽和していきました。
森の神は私にお礼を言い、想像していた世界が現実に変化していき、地上は不可思議な神事に神掛かる舞台となった。
それから私は動植達に説法をして、森の法による守るべき秩序とこれから未来に向けての森のあるべき姿を問いました。
地球の森の再生を図るために人間に対して改心を促すのです。未来の人間に森との共存共生を訴え掛けた。
人間は今こそ意識を変化して森と共存共生していかなくてはならない。
森の神は地球の生命倫理に新たな原理と構成を作ろうとしていた。
そして、これから神は地球に新たな森を蘇生させ広げて作り直していくのです。
森に宇宙の荘厳なる無限の力を再生させて、万物の全てが全身全霊なる力の技を結集していく。
この地球上に緑の森を復活させて、生命に新しい平和をもたらせなくてはなりません。

それから1000年後の世界にいます。そして人間がいなくなり広大な森が復活していき、この地球は人間の支配から逸れる。地球は人間の支配が弱まり植物が支配する時代になりました。
地球上に人間はもう必要ないのです。夢は叶ったのです。私の役目はこれで完了したのです。
森の神よ、あなたはどう思われますか。
人間であり、動物であり、植物でもあり万物の中に宿る神。全人的な人格の実現は、こうして神からの条件付けが必要とされているのです。

森の復活

森の復活

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-26

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