巣立ち

巣立ち

あなた、夢見る時代に戻りましょう。あなたを夢見る時代にしたのは、実は神の想像力だったのです。あなた、好きです。
そこにいたのです。神がそこにいたのです。ああ、どうすればいいのか。
神にそっと寄り添うこの気持ちは、偉大で暖かく優しい全知全能の不可思議さに満ちていた。
世界を照らす光は美しく完全な調和をされて、細胞に私の原始の世界を語りかけていく。
広大深遠な宇宙の清らかさを持って寛容に、私の全ての心と体を守り、何ものにも全く不安がない完全なる美の世界へと迎えさせた。
私は修業を続けていく凛とした心を持った。
その時、この世界に苦しみと幸せは表裏一体である事を知るのです。
森の中からふわっと天空に上昇していき、その高みから森全体の構造を捉えて、自然界の部分と全体の神妙な関連性を知るのです。
ほの暗い森の奥ゆかしさに、少女がこの世界に敬虔な祈りを捧げている。
そして私の前にそっと神様を呼んだのです。
私の体に宿る細胞の遣伝子を精緻に調べている。これから私の細胞をそう神の細胞に転生しようとしているだわ。
人間から神の細胞に変化させようと人智を超えた転生能力を発揮して、世界を根本から変化させようとしている。
私の細胞の組織を一つ一つ変化させて、新たな構成の枠組みを作ろうとしている。
まさに私の細胞は神の偉大な美しい手によって変身の時を迎えたのです。
宇宙の彼方の深遠から天使が私にそっと語りかける。
人体に宿る神の細胞を才能豊かで軽やかにもてあそぶ乙女は若気の夢見心地でいて、そんなにも変身したい願望が強かったのです。
神の細胞は私の体に万能なる人類究極の知性を宿させ、可憐な乙女の夢見る時代を教えていく。
そう神女が颯爽と大空を飛んでいる。その後ろにはもう私が飛んでいましたわ。
神女の柔らしく飛翔する肉体は、この世の限られた者にしか知れない淡い青春の憧憬を教えていた。

「ねえ、ゆりかごの中にあなたを生まれさせました。」
ゆりかごであなたの生まれたばかりの感性が甦っていく。

神女は澄み渡った青空を一直線に夢へ向かって飛翔している。もしかしたら私を子供にしようとしているのかしら。母親のような存在、それはまさしく神女だったのです。
神女は私に天空の飛び方を愛情深く丁寧に教えていた。
「ねえ、こうして飛ぶのよ。」素直にただ教えられた通りにしていくの。それはこの世界に晴れ渡る若気の青春飛行だったのかしら。神女は私を優しく甘くやわらしくしていく。
うまく飛べるようになったかしら私。ああ、もっとうまく飛んでみたい。
あなたはきっとうまく飛べるわ。だって、私の子供だもの。神女はふっと柔らしい笑みを浮かべた。私を信じて大丈夫よ。
私に子孫の間で代々から伝わる飛行方法を、神掛かった教育で実現化していった。一人前の飛行を体得させるために日々私を真剣に教えていく。

私の未来を明るくした1人の女性がいた。
あなたのその存在が私を天空の存在へと青く溶けさせていく。それがミッションだとしたら、なんてときめいているのでしょう。
神女は優しく大きく私の背にそっと触れた。神女の超越した感覚に、全身が新たな神の次元に総体化していき羽根が生えていく。
その神女は私に未来を託していた。
そして、あなたと一緒に生活する夢の天空生活を営む。この喜びをどのように形容すればいいのでしょうか。
ああ、私は流麗な飛行を習得する為に懸命に修業しているのです。
この大空の夢心地の中で、私に偉大なる道を高らかに飛行させたあなたは神だった。
そうあなた、信じてください。私のおっしゃる通りにするのです。

そして私は華麗なる飛行を習得したのです。
神の時空へと、私を高らかに連れて行った神女が、私に大空へと飛び立つ修行に満行を与えたのです。
神女は私をそっと体を優しく抱き、「あなた、好きです。」と言った。
その時私は神の時空の次元へと昇り、うっとりこの世から淡白く溶けていった。
気づけば神女に恋をしていたのかもしれません。
私は決して実らない恋の夢想体験が終わり、そう、これから夢の大空の憧憬へと飛翔していく。
さあ、これが、人生の単立ちなのです。
神女が暖かく私を見送っている。神女は泣いていた。私は振り返り笑顔で見つめ返す。
さあ、新時代の青空へと飛翔し、人生が始まるのです。

巣立ち

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-26

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