二人の天使

二人の天使

神様とはあなたのような人だったのかもしれない。それが私にもわかります。あなたには神がいるということを。
私の後ろを2人の何というあどけない少女がやわらしく健気についてくるのです。
あなた達は、一体誰なのですか。
2人の少女はきっと未来の私の娘なのではないでしょうか。私についてきてくれる、ありがたい、何てありがたいのでしょうか。私はこんなにも頼もしくなったというのでしょうか。
いいえ、違います。2人の少女こそが頼もしいのですわ。いけません、私について来ないで下さい。
あなた達の生命の創造者ではあります。2人の少女は私を母親だとお間違えになっているのでしょう。
2人の少女を私は優しくふわーっと抱え上げるその美しい時間は幼心の憧憬の青空へ、儚い世界へ、そこはかとない美しいリリシズムにときめく。
2人の少女は何だか私に似ているこの美しき親近性の感覚は一体なぜかしら。
2人の少女が声を出してはしゃいでいるその横顔にふっと感情が動くの。
その少女にそっと語りかける。あなたは誰なのですか。あなたは聞こえるか、神の声を。するとお父さんお父さんと囁く、私は天上界に青白い微かな羽根を伸ばし、静寂に優しく、じっとしている。
私の知らないあなたを知っている。ただそれだけで、ただそれだけでいいんだわ。ただそれだけで。
2人の少女はふっと天空を見上げる。金色の美しき粉がひらひらと揺らめき降誕している。この世が美しく満たされていく。
2人の少女はふわーっと体の軽さを習得し浮遊していく何という天使の優雅な重み、私の手から優しくすり抜けていく。
嬉しくときめき憧れに感嘆の声を上げ、ふわ~っと空へ上昇していくそれは夢、夢、夢。
面白そうに、体がたゆたい浮遊する感覚に2人の少女は感動し笑いあう。
うわーっ何なの、何なのこれ、凄い。私達はきっと神の元へと行くのだわ。
青空をあどけない表情で飛翔する天使の可憐な飛行ライン。あなた達はまさに神から選ばれた天使になっていく。
あなた達はなんて美しい天使、まさしく選ばれたのです。
あなた達の持つ世界は本当に美しいわ。どうか、お願いあなた達、私の娘のままでいて下さいね。
2人の少女はふわり飛翔していき私を見てにっこりと天使の微笑をした。ああ、優しい優しすぎるのです。
私はその流麗な御姿にただただ泣くのです。
あなた、私を泣かして下さい。私が泣くのを許してください。ああ、人生はこれでいいのです。もうこれだけでいいのだわ。
2人の少女は私のそばに来て、さあ、行きましょうと天使の柔らしさでそっとささやかな微笑をする。
私に対する、その優しい表情が存在を微かに遠く薄くしていく。
2人の少女は私にあどけなく可愛らしい手をそっと指しのべる。私はその手を握り返すの。
2人の少女の美しい手の感覚に、全人生が平和をもたらし解脱していくその感覚に近親的に新しく生まれていく想像性を感じた。
私、あなたの女になりますわ。私、あなたを神のもとに連れていくの。
本当の意味で人生で初めての夢の世界へ、天使の世界へ、そう救済の世界へ行かせてあげます。
私、あなたの事が好きなの。あなたの事を、そうずっと信じていました。
あなたの存在を可憐な天使にして夢の世界へ連れていかせます。
私は、好きなの。好きなの。好きなのです。
この世に何も未練は何も無いのです。知っているの。あなたは神に選ばれた人間である真実を。

二人の天使

二人の天使

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-25

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