浜辺の教会

浜辺の教会

明けの明星に浜辺の潮が静寂にゆったりと満ちていくその爽快な心理描写に、私は人生との二重奏を余韻にふけながら高らかに奏でる天上歌。
天上歌は私の遥かなる太古の記憶を呼び起こさせ現実を遠くに離して、私の存在は無に限りなく近くなっていく。
私に人生の真理を教えないでください。
浜辺で一人海をゆったりと眺め、私の先に見える宇宙の真理を隠した大海の秩序を整理しようとしている。
浜辺の後ろにはゆるやかな傾斜の丘が形成されており、その丘の上に白い教会がこの世を遠くに引き離した美しいフォルムを創造していた。
教会の上空には十字架が輝かしく偉大に、神様の宇宙観を表して大きく飛翔している。
その十字架から一筋の光が海へ向けて、美しく真っ直ぐ一直線に青いラインが描かれた。
この世界を感覚する神経を研ぎ澄ましていく、その一筋の光は人間界には決して存在しない。一筋のこの現実を逸した光が海の闇を明るく照らし、世界に明星を与えて人間の未来の予言を行った。
海上に夢幻の色とりどりの美しい発光体が揺らめき、三途の川を渡る霊魂のように生命の灯火を微かに遠くに離して生きている。
青い1筋の光明に逸していく海は2つに別れて、海に一本の道がこの地球上にもたらされた。
海はドーンと大きな飛沫をたてて、超自然の偉大な神の道を創造していた。
海に出現した道を嬉しき期待に満ち溢れた極限の創造性の神感を優しく抱いて、未来へ向かって歩いていくのです。
何という神のオーラに囲まれた懐かしい空間なのでしょうか。
海が太古の生命が誕生した地球の記憶をしっかりと奏でている、その音色が海の母胎に私の生命誕生の時を迎えさせた。
私の老化した細胞の時間軸が逆に回り、地球の自転方向は人間の若返りを果たしていくのです。
幼児になっていくその肉体と精神の爽やかさ、快活さがみなぎるエネルギーに何だか嬉しくなっている。
生命は遣伝子に革命を起こし、全人生を初めからやり直せる期待感にときめいた。
この神の道の先に、神女が両手で十字架の形状に肉体表現をしながら泰然と美しく立っていた。
その女性は私に対して愛に満ち溢れた表情で潤わせて、柔らかく私を抱き上げた。
地球の母親のような偉大な母性愛の甘い柔らしさに、意識が彼方遠くに遠のいていった。もう太古の海の生物細胞に還っていた。
私は誰なの、何処にいるの。
私は神女と優しく抱擁を交わした。ああ、幸せです。
神の道は希望の未来への憧れにときめき、この将来に夢を実現化していくのです。
私と神女は共に歩み、この道の先には神の教会があった。
天上の十字架は青白く微かに美しい光明を遠くで発して、現世との抽象的な薄らいだ関係を構築していた。
教会が青白く美しめられ静寂の中に、ひっそりと救世主の出現を予感していく。
神女は教会内部の奥ゆかしき心臓部へと、神が創造した空間へと存在を高らかに移翔させた、この全宇宙の究極が存在する次元。

教会の奥には青く静謐な神の子が威厳に満ちて立っていた。
神女がこの子に遥かなる洗礼の時を与えようとしていた。
神の子がそっと静かに私の所に来て、神掛かった明るい表情でふわっと微笑する。
私は洗礼を受けて神の化身が持つ異次元のオーラに包まれた。この子こそが神に選ばれた人間だと知った。
教会内部には星団、銀河団、生命、宇宙の素粒子が神の光に照らされて、色とりどりに優雅に浮遊している。
神の領域に夢幻の朧気の中で感覚次元は超越していった。ああ、万物はみんな神の創造物の傑物だったのです。
神の教会での修行生活で、私の人間力を鍛錬して向上させていく。神と私の契約は、確かに契約されたのです。

浜辺の教会

浜辺の教会

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-25

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