天空城

天空城

天空の城で生活する美しい空の時空が流れる、静かな青い次元で新しく生まれ変わる。
穏やかで不思議な生活にただ心が安心しています。
現世の生活は遠い昔の彼方の幻となってしまったのです。この世界にうっすらと存在感を弱め、薄らいでいく私はもう生きていない。
微かな幸せにゆったりと体の細胞は何も主張せずに、身も心も時の流れるまま、人生はたかがそれだけのもの、大した事はなかったのです。
大空を見つめながら、身と心は大自然を見つめる。身と心は大宇宙を見つめる。
身と心はただただ大きく安らかに和らいでいるこの真実。
私は私とだけと対話しているこの真理があった。
流れる雲の悠々とたゆたう解俗性の青春に身心の熱さを感じ、ただうっとりしていく、あなたに。
私をうっとりさせたあなたは神としてそこにいたのです。
私はあなたの肩にもたれかけて大空を眺める。その時に美しさとは何かをはっと知るのです。
詩的に流れる時間は可憐な蓮の心理描写をデッサンする。
宇宙の広大深遠なキャンバスが私には用意されています。
さあ、宇宙のキャンバスの中に私とあなたの夢を自由に描きましょう。
夢を精緻に描く事でイメージされる色とりどりの立体ビジョン。そこには夢を叶えた新しい宇宙が創造されたのです。
私は天空の城のアトリエから大きな空を見ながら一人の画家になるのです。モデルは天空の城から見える海、山、平野、川、湖、大地、宇宙、自然、生命、宇宙の神々。
神が私に絵を優雅に描かせるのです。
ああ、私の存在をこの地球上から無にしてください。
私の全ての存在が無となることで、神が美しい御姿で天空の雲間から優美にきらきらと降誕しています。
そしてふわっと地球上の万物が完全に無となり、この天の光の中から一人の神が出現しました。
私の体は細胞の細部からぐんぐんと伸びていき、人体の遣伝子は偉大な長さに変化していく。
神とは私の遣伝子をさらに超越していた。想像を完全に超えている超次元の優れた感性に、私の心をどきどきわくわくさせた。
私はあなたの事を知っています。そして神のイメージとはまさに私が本当に見たあなたの御姿そのものなのです。
万物の創造主による奇蹟の力が、宇宙の無限のキャンバスに神の御姿を私の筆で大きく描かせていた。
ああ、神が見えるのです。
ずっと長い間追い求めてきて、ようやく今神と出逢う事が叶いました。
ああ、あなた、私を抱いてください。
そして私の手を優しく握って下さい。
どうか私に生きていく力を与えてください。
あなたに私の全てを頼らせてください。
すると神は私の体を優しく柔らしくそっと包みこむ。
ああ、やっと人生の全ての意味がようやくわかりました。この不可思議な神通力によって、宇宙の広大なキャンバスが神の超越した知性そのものになっていく。
さあ、新しい神の時代が始まっていきます。
あなたと私の気持ちは同じなのです。あなたと私は一体化していき神の流れる素性を私の遣伝子に届けている。何という満ち足りた気持ちなのでしょう。
ああ、私、神の子になります。
私、あなたの息子になります。
そっと、そっと神に囁きかける。
聞こえましたか。神の声が、私には。
ああ、聞こえます。
宇宙のキャンバス一面には美しい神の御姿が完成しました。
あなたは宇宙の真理を含んだ不思議なこの世に得も言われぬ微笑をよこした。
私は美しく澄んだ心に生まれ変わり泣いています。あなたの愛はなんという超越した格別な美しさなのでしょうか。
私は泣きながら、神を見つめた。
神は宇宙全ての森羅万象を包みこむ偉大な慈悲深い愛の表情で、私をじっと見つめている。
私はその表情を見た時、やっと今までの人生の意味を理解したのです。これまで生きてきた意味を知り、これからの未来を予言する事ができました。
神との幸せな生活が始まるのです。私は神に愛された人間だったのです。
さあ、新しい人生を。
さあ、新しい世界を。
さあ、新しい私を。

天空城

天空城

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-25

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted