天使

天使

神の子を抱いてこれから祖先の霊を祀りに行くのです。
私は神の子を優しく天に突き上げたのです。
その子は優しく夜空の天の川を見つめて、ただただうっとりと安らいでいく。その情景は私がまだ幼児だった頃の優しい母の記憶。
天使達が神の子を見ながら辺りを自由自在に浮遊して飛翔している。
この子の頭上の自転軸をなめらかに美しく清められ、溢れる表情で飛び回る。
この子に神の手の偉大な真理を体蔵させた。神の動きに満ちる生死を超越した生命への導びき。
神はこの幼児を誕生させて天使にしようとしているのか。そして私は神の子を手の平にそっと載せたのです。
なんて可憐に澄んだ神の手の方程式が、時空を遠く彼方へと促していき、そこにはただ安らぎしかなかった。
私の腕に抱かれた神の子は、真理の暗号を解読する不思議な哀しみの表情で私をじっと見つめた。
ああ、私をそんなにも美しくさせないでください。
神の手の中には生命遣伝子の暗号が生まれて存在していた。私は好きになっていく。神の子をとても好きになっていく。
神の手には人間の真理があり、森羅万象の素粒子のやりとりを通して全ての光が創造された。身心を通して遠くの全景に拡がる青空があった。
私にその整理された秩序を与えて、遣伝子の1つ1つの生命暗号の意味を知らせています。
光り輝やき愛に満ちる手が導びき、天空へ美しく爽やかに上昇していった。
私は天の1つの真理に向かって、この記憶と経験を今飛翔させていくのです。
人生でこれほど美しく天空の澄み渡った青い静寂があったでしょうか。私はかつて感じた事のない精霊のみずみずしさを感じた。
水の流れが私の故郷の懐かしく、甘い、いとおしさで包んでいく。
私は鳥となり広大無辺の青空を飛んで、人間の真理の中で、この世から彼方のあの世へ彼岸していく。
いつからともなく幼児のあどけない叙情性で緩やかに飛んでいた。
私はそんな美しい女になったのでしょうか。私の純情が天使に翼を授けたのならとても嬉しい。
可憐な翼をはためかせて、ひっそりと天使はまだ生きているのです。
身を全て委ねて、今天使がこの世に降臨していく。
私と天使には愛のこんなにも不思議な慎ましさがあった。
人生の真理をこの美しい神の手によって伝えられたのです。
深い深い森の奥で1人の神の子がひっそりと誕生するの、こんこんこんこん。
「私、聖女となって、天使へと愛を届けますから。私の愛により天使が今創造され誕生しようとしている。これから天使になって広大深遠な青空を翔け巡り優雅な素粒子と同じ軽やかな動きをするのだわ。」
「私の内なる美しい青空によろしく。私はそれを只頼りにしていますから。」
天使に初めて翼が生えたのです。
ああ、天使にそんな優美な感情があったなんて。私は生命創世記の原始状態にいるのです。
ここは神の未知なる心臓部。
私は太古の母の優しい温もりの胎盤の中に存在しているのです。
もし人生の仮説が正しいのなら、創世記への神の誕生の準備は整った証拠ではないか。
私は本当に生きてここに存在していたのです。天使は私をそんな可憐な世界に連れて行って何をする気なのでしょう。さあ、優しさに包まれて安らいでいく。
ああ、私は放たれる。
私の内なる心の宇宙はこれ程までに安らいで放たれていく。
私は本当の私なのでしょうか。一体何者なのでしょうか。
今天使を感覚している。
ああ、天使は私を創造してこの世に誕生させたのです。

天使

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-25

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