母親

母親

母親は私の考えている事なんておかまい無し、凄くいい調子で料理を作っている。
私にとっての神様とは実は自分の親なのではないか。親の愛がなければここまで来れなかった。
様々な愛情を注がれて、ここまでやっと生きてこれたのだわ。
これはまさに神様の愛と表現できます。親心に溢れる愛情を注いでもらいました。きっと神様の愛と、親の愛は同じなのではないかしら。
そしてあれから私は自立しています。親には心配をかけてはならない。そこだけを心掛けて行きたい。
これから私が親になる時が来るのでしょうか。親を見習って、本当に私が母親になれるのですか。
そう、私が母親になってあなたの神様になってみせますわ。

実際今母親になって、私が子供を助けているというのがとても不思議。
この子供はきっとうまくやっていける。何も心配していない。だってこの子供は私の子供だもの。この子供は将来どんな子供になるのでしょうか。あなたのことはいつでも可愛らしく、明るい希望の未来に期待している。
あの時あなたは私にこう言いましたね。「私の事は心配しなくても大丈夫」とそんなのあなたの強がりだとわかっています。でも本当は心強くて嬉しかった。
あなただけは私が助けます。あなたを私が助けるのは子を気遣う親心なのです。その気持ちだけを何よりも優先するわ。
あなたは本当に美しい子、仏性を持った優しい子です。
そして、そんなあなたは私に手を優しく指しのべてくれた。その心遣いに感謝します、何て優しい子なの。
ああ、お母さん、嬉しかった。お母さん、泣きたかった。あなたに強がってばかりでごめんなさい。私は弱い人間なのです。とても心強く思っていますわ。あなたを信じています。

さよならをする辞世の時にやっとあなたの立派な姿を見れて安心した。何だかとても心強かった。
あの気丈夫な姿を見て私安心したの。あなたはきっと大丈夫です。私はもう何も心配していない。うまくいくことをお祈りしています。
大空が広がり夢はさあ、この穏やかな辞世への気持ちをどう表現すればいいでしょうか。この安心、今こそ母になれて本当に良かったと思う。
やさしい。やさしい。母と子の関係って不思議ね。私、はじめて気づいた、母親ってこんな嬉しい存在なのだと。あなたはこれからも、ここから私を気遣ってくださいね。

でも、私はそんな女なのです。たかがそんな女だったのです。そんな女にしかなれなたかったのです。でも本当にそんな私で心より良かった。
心の思うままに、天の赴くままに子供なのです。そう、どうかそっとまだ子供のままにしておいてください。
そのようにしてあの世でも私は無邪気に生きていっていいんだわ。私を優しく守ってくださいね。ごめんなさい。だって私はただの女だったのですから。

私ってこんな母親で良かったのかしら。私を許してください。馬鹿な母親だったと思って許してください。ふふっ、哀れな母親だったと思い返してください。たかがそれだけの人間だったのですから。

ああ、でもあなただけは私を、こんな私を許してくれた。

大きな木のそばに寄り添い、天の動きを穏やかに見つめる。天と絶妙に溶け合い、存在が大きな大きな人間となります。
私とあなただけの世界。私とあなた、それは神の真実。
不思議ね。母と子供がこんなに寄り添い合って。本当に不思議ね。あなたの親で本当に良かった。あなたの母親になれて良かったわ。
神様、感謝します。こんな立派な子に育ってくれて、私は嬉しい。あなたは私に自信を与えてくれた。
さあ、神様と共にいきましょう。さあ、抜けています。さあ、抜けていきます。あなた、ありがとう。あなた、今ままでありがとうね。さようなら。

母親

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-25

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