母親

母親

山々は美しい青さを持っている。私は癒す力があるの。そして私は癒される力があるの。
人生はどこまでも続く願いが叶う道なのです。願いが叶う一直線上の道を歩いている。
願いを叶える人間であると、女神からそのように期待されています。私と女神とはどのような関係なのでしょうか。
私はゆりかごの上で毛布にくるまって寝ているの。とてもやさしく暖かくふんわりとしたその浮遊性は、女神からのプレゼントではないかしら。
ゆりかごをのぞきこんでいる女性がいる。一体誰なのでしょうか。
その女性をよく見ると若かれし時の母親なのです。
母が子を眺める表情は、不思議な弾力性がありしっとりとして故郷を見つめられている。
ああ、母親は私に手をそっとやさしく指しのべてくる。
母親は私の顔をなでて、ふんわりやさしく溶けそうな微笑を送ったのです。
その手の感触は、とても暖かくほんのりやわらかかった。
私はそっと母親の顔を見た。母親は私の意志を読みとろうと顔を近づけて、眼をまんまると美しく愛らしい顔をして私を横目で見つめた。
母親の暖かいオーラが、やわらかくやさしく立ちこめてきた。母親の肌は水々しく若い生命感に溢れていた。
母親は私の眼をじっとやさしく見つめる。心が母親の女性らしさ暖かさに溶けて無くなるような安心感を、胸いっぱいに抱いた。
私はまだ話せないの。何を伝えたいのかと、母親は私にどうしたの~?と話しかけながら、柔和な顔を私の顔にやさしくふんわりと頬につけた。
何というやわらかい、ふわふわのやさしく甘い感触なのでしょうか。
時空の仏祖に対面したような癒しを宇宙全体に感じた。
心はやわらかく存在を無くしていくのがよくわかった。
私のこの美しい感情はどこからやってくるのだろうか。
感情が大いなるやさしい母性に包まれるのを感じ安心していく。どこまでもどこまでも、これからどこまでも安じる心が続いて行く未来への期待。
私は手を指し出した。それを母はその手をやさしく包んでくれた。
その暖かい温度は母親の温度。母親の手により暖められていく、もう私の手の温度はしっとりと暖かい。
母親は私の手を握って、やさしくじっと見つめている。これでいいのです。
母親は私の存在を思い気にかけてくれている。それが嬉しいの。私を優しく見守る大きな母親の愛情。
私は笑った。母親もそれを見て一緒に顔がほころんでいくのです。親と子は、はたして一心同体なのでしょうか。
そして、私が悲しむと母親も悲しい表情になるの。私と母親は共に連動しているのでしょうか。
母親は地球の春なのです。母親が産んでくれたから、この世界に私がいるの。
母親は私をおんぶしている。どこにいくのですか。
台所で食事を作るようなのです。何て暖かい背中のぬくもり。とっても安心していく。
今日は何を作るのでしょうか。私に何を食べさせてくれるのでしょうか。この背中でやさしくやわらかく寝てしまいそうです。このように、家庭の暖かさをやわらかく感じています。
今日もまた私に食事を与えてくださいました。いつも美味しい食事を作ってくれましたから、大きく成長できたの。なんて幸せ者なの。
あなたは将来何になるのでしょうと、子供を思いやる母親の気持ち。
そばにいつも暖かい母親がいて、母親の愛情のおかげでここまでこれました。感謝しなくてはなりません。
そして季節は春になり、桜が咲きはじめました。そう私の心には、あの時の若かれし母親がまだいるのです。
一体神様の存在を教えたのは母親なのでしょうか。私に生きるための様々な事を教え、いつでも相談にのってくれて、私は何でも悩みを打ち明けました。
抱えていた重荷はそれによって全て無くなったのです。あなたの子は普通の子に育ったのでしょうか。
母親の姿から勉強したのです。とても大いなる存在がいたの。神様はいたのです。神様がいる限り大丈夫。
母親に感謝して親孝行していかなくてはなりません。
しかし、ああこの世にはもう母親はいない。何ということなの。
一人前にならなくてはなりません。お母さん、本当にありがとうございました。

母親

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-25

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