黄泉の国

黄泉の国

ひっそりと存在を神格化するあなたは己の手の平で、生命の祈りを捧げ、人生を全うする高らかな鐘が鳴る祝祭劇場。
黄泉の国へ連れて行ってください。露がしたたる雨音のかすかな霧の奥深い遠くに広がる心は、全ての重荷を降ろした全く清らかな無の世界。
私の手に、神の涙を垂らしてくれます。その全ての解答を得てかなた天空に超越し、さらに超越していく魂の救済的な高みの細胞。
神の細胞が蘇生し初める肉体の確固たる期待感の翔天、青い地球のかなたに心を大きく飛ばせて、心のひだを深く潜り己の実現し初める遺伝子の創造。
黄泉の国へと旅立っている。周りにはこの世とは思えない美しく淡い夢想的で澄んだ心境が流れていた法脱感。
これで死ねるのだと人生で一番期待した頂点へと宇宙が移行する変奏曲を奏でていた。
周りはお花畑が囲まれて、浄土の美しい色彩の大宇宙が贈る、生命の偉大な美意識は生命力の凝縮。心は浮いていき、どこまでもどこまでも心にハーモニーが、日本民謡の懐かしい母なる故郷へ還っていく、得も言われぬ安心と安定、もう死ねるのかしら。
お花畑を抜けると滝が大きな音をたてて迫って来た。これは宇宙の巨大なパイプオルガンの煌びやかな大合唱が響き渡り、生命の存在とは何なのかをこの世に問うていた。
大きな飛沫をあげる滝の上へと登っていき、頭上を見渡すと天空には天使の美しい情感があった。
天使に生命の安らぎを求めて抱きついた。青空へ大きく飛んでいく。そこからは彼方に広がっていく大海原があり、鯨が潮の飛沫を頭を上に出して私に挨拶を送った。
天使に抱きつきながら、天空に上昇していく限りない生命の突き抜ける解放感。
嬉しい叫びをあげて天使の体はやわらかくふわりと、しっとりして私の感応に答えてくれた。
天使の空のまたさらに空に、黄泉の国が存在していて、そこに超体験がこの世を無の状態にさせます。
そして私は黄泉の国についた。
そこは無の宇宙的な創造性を確保しようと、人間の可能な限りの知識を結晶させて、無の解脱を肉体に憶えさせようとしていた。
無とは何も無い肉体と精神の感覚で、完全に抜けた人間の状態である。無の世界は悟りの精神状態。無は何も起こらない。何も感じない。何も考えない。
事象は遥か彼方の大宇宙140億光年の生命の原始状態に時をさかのぼる。
意志と意識も完全に無い。思考もない。考えようとする意識もない。感じない。心も無い。心は完全に形を無くし存在していない。5感は動かない全く反応しない無の状態である。
これが死んだ人間の体感、不思議。苦しみもなく心が居心地の良い調和に行き着いた、無反応な静まった宇宙。肉体は無くなった。心は無くなった。現世には完全にいないのです。
このままでいたい。黄泉の国では私は存在していない。存在はどこにもいける。死んだ私はこれ程までに無になっていく。
私は宇宙で1人存在していない。人間は無になり全くの人間を逸脱し、迷いの世界から放り出して、全くの無の超体験のさらなる超越の化学反応を起こし素粒子になる。単一の素粒子になり、もう一度素粒子を再結合していくのです。
物質の最小体になり、未知なる結合に夢を叶える不思議な心。ミクロの世界に神の創造が存在している心は浮遊する霊。
素粒子は無になる。遺伝子は無になる。すべての細胞は、無の存在になる。全く外界と関連しない私だけのミクロユニヴァース。私の存在と私は関連もしない。
私の天空に無の超越者へと幽体離脱を起こす。私は、私の素粒子に幽体離脱を起こさせる。
そして素粒子は超越したメタモルフォーゼを起こし、新たな素粒子に光変換され神の構造を得たのです。
素粒子は全く生まれ変わり復活した。存在は再臨しました。存在は無になっています。
生きている。何にも関連しない無の素粒子からなる遺伝子。細胞は存在の意味を問い、全くの宇宙的な神様の存在、無から生まれようとする受精卵の存在へと還る。
無になったのです。完全なる無の肉体と精神。脳思考意志心は無となり姿をこの世から無くしていく。

黄泉の国

黄泉の国

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-25

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