宇宙の形式
宇宙の形式は、人間の生体の内なるコスモスでした。
コスモスが宿る生体は宇宙の広大深遠なリズムを持っている。
不可思議に湿った熱帯地方で、私は地球の設形図面上に雲の動きを眺めて天気予報をした。
人生を美しくしたのは、あそこの彼岸の先から見守る少女だったのです。雨によりガンジス川の水流が増して大海に一斉に注ぎかけた。そこからは立ち昇る龍が現れた。
そして私は変身を告げられた。
美しい夕日を見つめて一人の女性は何を思うのですか。
その一人の女性とは青い海に似た可憐な少女であった。
母親もまだ生きていて昔かつてそこにいたのです。
しかし、それは遠い時代の流れであり、時は無情な月日のアルペジオの幻であった。
なんて無心に移ろいゆく世界の中で、遠い昔にかつてあった暖かい家族との関わりの情景を、不思議な一期一会の儚さに思いだした。
そして、その少女の変身を促したのは誰なのですか。
遠くの潮の流れに身を委ねてカモメが漂流するあどけなさ。
自然は昔と何も変わらないのに、私の細胞はとうに昔ではなく老いていく。
こんな私の儚い心の哀しさを誰が知っているのだろう。
その時私は仏様から海に大きな渡し舟を与えられた。
砂浜で1人の少女が遊び戯れるのを見ながら、私は海原に舟を漕いでいく。私の一人の孤独な海との時空対話があった。
私は海と空しか見ないのです。海が私に青い心象的な夢の薄らいだ筋を知らせ給う。
そこに、砂浜の1人の少女がこちらにひらひらと無重力感でふわっと浮遊して近づき一緒に舟に乗った。まどろむ白昼夢の架想的な情景に、天国の儚げな優しい音楽で世に問うたのです。
私と少女は2人静かで穏やかな波の中を青い海のメロディーに身を任せて共に大海原へと漕いでいった。
あなたを知っています。その少女は美しく端整な表情で大きな眼をした、女の色気で私を見つめて独特な興奮を与えた。
しかし、少女は私を知らない。その少女が私に生きている意味を問うたのです。
私達は仏様を求めて舟旅にそっと出発したのです。
その少女がふふっとか細く笑うと、和やかな一時の心の憩いをふわっと作り出した。
その少女はさりげなく私の手をそっと握り、仏様の清らかな容姿へとふわり不可思議に変身していった。
少女は仏様の可憐な表情に変わり、淡白い天国へと柔らかく表象していくのです。
生まれながら少女は様々な感情を持ち合わせた生き物でした。
そして美しい女性に変身していったのです。
我ながら客観的に、少女は自分自身を見つめた事がありませんでした。
ああ、あなたはなんて稀有な美しき女。今のままで何も変わらなくていい。なすがままで感じるままに生きていけばいい。
感じる世界の中に、人間の神経に流れる偉大なメタファーがそこにあった。
世界は様々に移ろいゆき変化していき諸行無常の無限の変奏曲を奏でた。
ああ、私達の中にも同じことが起きていった。
私と少女も日々少しづつ老いていく、美しく変化し続けていく不可思議な宇宙の微睡。
なんという、ついに少女は仏様の姿に生まれ変わりました。
「少女よ、やっとあなたの実像がわかりましたか、あなたは今の素のままで本当に美しいのです。」
私と少女の不確かな現実には、架想的な夢の抒情に溢れる清新さがあった。
何という大らかな愛を感じさせるのでしょう。
地下を脈々と流れる水脈は、情感豊かな実存性を生きるエキスでした。
将来への救済を抱き、少女は悲しき魂を脱して生まれ変わった心で、コスモスの生物多様性の美しい階段を颯爽と登り、そこには明ける天の光があった。
私と少女は、兄妹だったのです。
仏光が宿る想像性の中に無の少女はそっと脱していく。私の凝り固まった心を脱して和らがせ、この現実の事柄を流麗に変化させていく。
少女という人間は宇宙でたった1つの美しい構造で、ラインの神掛かっている容貌であった。
少女はさらなる次元のセンチメンタルな郷愁を湧き起こし、新たな事象へと旅立っていく。
私と少女は、舟の上で愛しあいましたわ。のどかな春の午後の穏やかな日射しの海をベッドにして。私と少女は一体となり、今まで生きてきた子孫の系譜の意味を知ったのです。
神掛かった少女の心に優美な変奏を教える課外授業。そんな清らかな御心の新しい期待に満ちた安心感。
私と少女のこの世にも不思議な現象は、仏様が許した成長への一つの段階なのです。
そして、母親はそれを優しく浜辺から見ていたのです。
宇宙の形式