物語の焼け跡

物語の焼け跡

短歌十首。

   



   



   

  



   



   



 

白く

   夢

誰もがかなしく 絶ち 去ってゆく

さだめ

苦く

飲み込んで





荒涼と続く夜と路

ひとを落として

わたしを拾う 荒涼





見つめられずに置き去りゆく

車窓に映った物語の焼け跡




ひとは

    救いなのか 苦しみなのか

車窓に光彩が流れていく




索漠

決して忘れられない音を流していく細い地下水




しあわせです

しあわせでした きっと

僕はあなたに

あげられましたか





抑鬱の細い水の筋

命が小さくなる

人々の中で




もう十分生きたといえるのか

魂がかじかむ

詩を

おいていく




レボトミンの夜がとてもまっしろくて

命ばかりが

まっしろくて




錠剤にわたしを預けながら

シートを捨てる音だけがわたしで
   



   



   

  



   



   



 

物語の焼け跡

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物語の焼け跡

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-24

Copyrighted
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