天使はいつもボロボロでした

少し、暗い話です。


天使はいつもボロボロでした。
悪魔も同様に、ボロボロになっていました。
薄汚れたカーテンを、天使は純粋な瞳で見つめました。
小刻みに真っ白が、チカチカと点滅していて、何かを必死に堪えることでまた違う何かを保っているようでした。
翳りを帯びた紅色を悪魔が傷つけている。
そうしてボロボロになっているのだという自覚があるのです。
それでも、その手を止めるには惜しい感情が、天使の心に漂っているから、傷つき続けます。

天使が天使であり続けるのには、残念な理由がありました。
天使の手は、碌なものではありません。
天使の口も、目も、端正に作り上げられたとはとても言い難いものでした。
なにもできないが故の存在。
粗末な心。
でも、どうしてか、その代わりをするものがありました。
だからこそ、悪魔ですらボロボロになってしまうのです。
天使の言うことを鵜呑みにするのは悪魔も同じこと。
天使が望む以上の言葉を悪魔が投げかけるのはあまりにも。
それをうまく飲み込めないというのも。

実は、天使の養分は悪魔の心だとか。
ふわっと笑えばそれは簡単に手に入るのだから、お手軽なものだと、天使は嘲笑っているでしょうか。
流石に、天使たるものそこまでひん曲がった性格じゃあないでしょう。
ですが、悪魔を自らの中に取り込もうくらいには思っています。
それを吐露しながら悪魔に身を委ねるのは、心地良いものだと天使は浸されていました。

天使はいつもボロボロでした

明日も明後日も

天使はいつもボロボロでした

ちょっとした詩です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-23

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