廃棄物の国
ごみ山のてっぺんでテレビゲームをした事を覚えているか。彼は優勝した。彼は英雄だった。彼はそこにいた。彼は自分でもあり、彼は彼でもあった。今でもまだ夢にでる、ムチを撃たれて小遣い稼ぎ、なんのために稼ぐかもわからないはした金と自分の時間を、消費するだけで息切れする毎日をすごした。まぎれもなくゴミの山、ごくたまに金や金目のものを発見する人もいるだろう、そんなものに興味はなかった、僕らはあのとき子供だったのさ。だけどいつかやってくる、自分たちが主人公ではなくなるときが、次の人間に託すときが、あのテレビゲームを、次の子供たちに渡したとき、俺たちは英雄になれたのか、これから結果がでるか出ないかもわからない都会の生活。綺麗な花柄のシャツに、かっこつけたチノパンに、サングラスやラッパーみたいな迷彩柄の気取った帽子、大学生活は、あの頃より単純で退屈だ。矮小化された娯楽では意味がない、俺はあのごみ山の王になるのだ、あのとき折れたちは、かわるがわるそれになった、かわるがわるプレイヤーになった。クスリで逮捕されたやつ、別の国へ逃げた奴、病気で死んだ奴。そして俺は、あの時一番生きていたことを覚えている、それを無駄だと思わなくなったから、今生きている事を想いだす。
廃棄物の国