花の名前
花は、色があるけれど、咲いては枯れて咲いては枯れて。
咲いては枯れて咲いては枯れて。
そんな人生に、黙々と時間を費やして。
1日の大半は、ただ突っ立っているだけで。
風に揺られたり、太陽の光にさらされたり。
文句も言えず。
口がないから、言葉を作れないから。
ただ、黙々と時間が流れるのを待って。
咲いたら、嬉しくて。けれど、そのまま永遠に
花を咲かせることはできなくて。
枯れることを知っていて尚、
花を咲かせることも止めることも自由にはできず。
ただ拘束されている生命に身を寄せる。
何も言えなくて。自由なんてありもしないけれど。
命を捨てることも制限されているから。
ただ、今が苦しい、と今が苦しいと
嘆き悲しむばかりでは
綺麗に咲くことも叶わず。
自分の意思は関係なく、ただ天の思うが儘に、
花は生かされて枯れて種が落ちて、また咲く。
秩序でつくられたサークルを、ただ忠実に守る
花が良いか、人間がいいか。
秩序によって歪に作られた人間がいいか
シンプルな原理がいいか。
どっちにしろ、もう生まれてしまったのだから、仕方がない。
明日も嵐のような日々を生きよう。
そして、死のうが生きようが
元から授けられた命なので、何も言わず受け止めよう。
花の名前