8月18日


エビの頭 を バリバリ 食う、お姉さん。
エビの頭を筒のように口でくわえて、音を立てながら 味噌を吸い出している、豪快だなぁ、と 感心したように 笑う 向かいのおじさん。
お姉さんは、茶色い髪が 綺麗で、ナントカっていう モデルさんに似てるねぇ、っておじさん が 言ったのを、おれは ニコニコして聞いていて 頭では、ほんとうは 窮屈だった。

おれには 果たすべき 責任があって その責任を 煩わしいと思うのは クソガキ みたいなこと なんだって おれに 気づかせてしまった かわいい お姉さん。
だから おれは 一生 お姉さんが ニガテで 嫌いで 怖くて 少し 羨ましい、 友達と 温泉に 入った話を、 海へ行った話を、 おれは エビの頭を 除けながら 聞いていた。

もう二度と 会えないし、会わないし、合わない 花ちゃんの ことを思い出して、本当は おれ こういうことは こういう場所は 隣に君がいる時が よかったんだって まだ 妄想に耽っている、未練タラタラの おれ。
(約束を やぶって ごめん って おれ 謝りたい なんて 馬鹿かな、 おれは 死にそーだ 、あの頃に 戻りたい)

おれは エビの頭を 上手く 食えないし、他の人と 温泉とか マジで無理、だから、おれは いつも 孤独で、いつも 不安 (そして、最低) だけど、お姉さんは おれに 優しくて、 苦しくない沈黙の中で 食べた チョコレートラスクアイスの 上に乗った チョコチップの苦味 だけが、おれを 叱っていて、おれを 責めていて、 おれは 少し 泣いた。

8月18日

8月18日

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-18

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted