サイバースペースの罪人
未来のサイバースペースでは。罰や罪の概念など存在しないように思える。だがそこには確かに罪人の姿が存在している。彼らのアバター、仮想の肉体は、その腕と首に鉄の輪を通され、サイバースペース上で常時監視されている。いま二人の子供が―—現実では子供なの判然とわからないが——バーチャルコンビニ足をふみいれてた。
「本部より連絡、いま首輪をつけた子供二人組がコンビニ内に入る様子、オートファイヤーウォールの用意をしろ」
オートファイヤウォールというのは、犯罪者や、罰を受けている最中の人間がそばにいると、近くにあるアバターや仮想空間は警察の監視のもと何十にもセキュリティ防護壁をはる仕組みの事だ。今ではほとんどのサイバー領域に接続されている基本機能ともいえる。彼らの来店を知らせる店内の音楽がながれると、店員は背筋をしゃきっとのばし、本を読んでいた女性は商品で顔を隠すようにして、すこし目線を、来店したばかりの客へとむけた。
「何にする?」
「コーヒー」
子供らしからぬ好み、やはり、彼等の中身は実際は子供ではないかもしれない。金髪の子供が一人いて、わあわあいったり、もう一人のほうに。
「これ、どうだ?」
と商品を勧めたりしていたが、すぐに買うものをきめたようで、いくつかのお菓子と、それから飲み物コーナーでペットボトル飲料を選び、彼等はコンビニの外へでた。両方とも半ズボンにシャツといった格好だったが。片方は金髪で色々ジャラジャラとした宝石類をつけている。ネックレスには、懐中時計を模したものや、彫刻をほったもの、腕にはブランド物の時計もある、しかしそれもデータである、データには、模造品といったものもあるので、安く買う事もできる実態がないので本当のことはわからない。もう一人が黒髪の、ぼんやりとした細い目の子供で、一方の子供ががさつで、騒がしいあるのに対し、どこかおどおどしていて、どちらかというと金髪が親分で、そっちは子分のような関係性に見える。今、コーヒーを買って店の外にでたのが、金髪のほうで、あとをついてでた彼はコーラーを買ってのんでいた。
「なんだ、味がしねえなあ。やっぱ退屈だなあ、ちょっとした罪をおかしだだけなのに」
「覗きでも、僕らこどもだとしても立派な犯罪だよー」
彼等は子供だろうか?恐ろしい会話をしていたが、周りの大人は皆、彼等から発せられる信号によって、彼等が罪人であることを認識している、だから彼らの顔を見てよく思うものもいないし、彼等の首と手首をみれば、かれらの罪は一目瞭然、しかし、彼等の受けた罰は、それだけとも限らない。彼らがもし大人で、サイバースペースにおける犯罪により極刑を受けていたとしたなら、彼等は現実世界で人体の改造する事を許されず、知能を拡張する事も、自分のバックアップデータを取る事も許されない。つまり前時代の人間のように生きて、死ななければいけない。何不自由ないその時代、それがこのサイバースペースが当たり前の世で最も恐れられる懲罰、苦痛なのだ。
サイバースペースの罪人