『 ○○しないと出られない部屋 』

のーす

セイギ×零 sideセイギ


峰子「さぁ!みんなお疲れ様!早速だけど次のゲームよ!ここからは二人一組でチャレンジしてもらうわ。」

急に聞こえてきた声に部屋に設置されたモニターの方へ一斉に目を向ける


二人一組? 今、聞き間違えでなければ確かにそう言った

セイギ「チッ」

前のゲームが終わった直後にこれは流石のセイギでも気が滅入る
リングを取る為とは言えめんどくせーな
セイギはそう思っていた

それも無理はない。ここにはセイギ 零 標 スナオの四人しかいない
とてもじゃないがこの三人とは気が合うとは思えないからだ
特に零とは犬猿の仲。
セイギはともあれ零の方が自分に好意を抱いているとは思えない

先が思いやられるな。 この時は他人事のようにそう考えていた。
次の言葉を聞くまでは、だ。

峰子「チーム分けは私が決めたわ。 標と早乙女スナオ そして……」

彼女はもったいぶるようにこちらに体を向け、ニヤリと笑った。

嫌な予感がした。
否、ここまで来れば組み合わせなど決まっている。だが認めたくはなかった。
コイツと一緒なんて。

峰子「宇海零と末崎セイギ。」

峰子「今からこの二チームで挑戦してもらうわ。」

冗談じゃない。コイツと二人なんて考えられない。出来るわけがない。

セイギ「ふざけんじゃねーぞ!どうしてこの組み合わせなんだ、他にもっとあっただろ!」

実際、在全なのかアイツなのか、決めたのはどちらか分からない。
だが、どちらにしろ何か魂胆があるに違いない。それは間違いない。

今まで極悪非道なことを平気でしてきたヤツらだ。今回だって例外じゃないはずだ。
思い通りにさせたらたまったもんじゃねーぞ。

峰子「口答えは許さないわ。
これは命令よ?」

峰子「命令に背いたらどうなるか分かるわよね?その時点で貴方は失格、リングを手にすることは出来ないわ」

これが最後のチャンスよ。
と女は続けて言った。

そうだ。もう時間がない。リング獲得の為に残された時間はあと12時間。
つまりは半日。
体力的にに考えてもこれが最後のチャンスだろう。 王の座を掴むためにはこのゲームに参加しない他ない

大人しくなった俺をみて自分に従ったのだと判断したのだろう。

峰子「それでは決まりね。」

峰子「目の前に三つの扉があるでしょう?そのどれかを選んで頂戴。」

そういうとモニターの映像と音声が途絶えた。


零「セイギさん…。よく分からないですけど。やるしかなさそうですね。」

と、いつの間に近くにいたのだろう。急に声をかけられる。

よろしくお願いします。とご丁寧に頭まで下げてくるコイツに心底腹が立つ。

セイギ「呑気な野郎だな。お前は。」

一体なんなんだ。次がどんなゲームかも分からないこの状況で。
いつまで偽善を通すつもりなんだ。

セイギ「お前」

セイギ「この状況が分かってるのか?次がどんなゲームか分からないんだぞ。」

セイギ「殺し合いかもしれねぇ。そんな相手に深々と頭下げるか普通。」

こんなこと言ったって無駄なのは分かってる。 コイツに普通は通用しないのだ。

零「そんなこと言われても…」

零「ほら!どの扉にするか決めましょう。ここで言い争っていても始まりませんよ。」

早くゲームを終わらせたいのか、それとも俺と二人が嫌なのか。
恐らく後者だろう。
彼はそくささと扉の前に歩いていく。

分かっていたはずのその態度にも、若干苛立ちを覚えながら扉に向かうそいつについて行く。

零「全く同じ扉です。…何か仕掛けがあるようにも思えませんし…。」

どうします?セイギさんと問いかけてくる。

まるで俺に決定権を委ねるような聞き方だ。

セイギ「なんだよ。俺が決めるのか?流石にお前も馬鹿じゃないだろ。」


零「いえ。実は僕、こういうの全く運がないので。」

零「ゲームが始まれば、勿論考えます。でもこの選択は考えてもどうしようもない気がして…」

だから、セイギさんが選んで下さい。と言った。

やはり馬鹿だな、コイツは。

セイギ「よくここまで生き残れたな、お前」

ため息混じりに言うと、えへへと笑う。

……別に褒めている訳じゃない。

コイツの言う通りここでゴチャゴチャ言っていても埒が明かない。

セイギ「いいよ。わかった、俺が決めてやる」

但し、俺を恨むなよ?冗談まじりに呟くとコイツは全力で否定する。

零「まさか。しませんよ、そんな事。僕がセイギさんに頼んだんです。寧ろ優柔不断だし…有難いですよ!」

セイギ「…冗談に決まってるだろ。真に受けるんじゃねーよ。」

以外だ。コイツに優柔不断な一面があったとは。
今までの行動を思い返しても、そうは思えない。が、本人が言うのならそうなのだろう。

確かになんの変哲のない扉だ。

何か決定打がある訳じゃない。

こうなれば一か八か、一番右の扉を選んだ。

先程モニターの映像が途絶えた事を考えると、扉を選び、中に入れということなのだろう。

セイギ「おい。扉は一番右にする。」

着いてこいよ。

そういうと彼は大人しく着いてくる。

標とスナオがいる方を見ると彼等も大人しく部屋に入ったようだ。

そこにはもういなかった。

一体何が始まるんだ。全く検討がつかない。

疑いながらも扉を潜ると、そこには先程と同じモニターと監視カメラが付いていた。

白い真四角の部屋

真ん中には机と椅子

端には二人がけのソファ

それ以外には特別何も無い

部屋は至って普通だった。左隅においてある黒いボックスを置いては

真っ白の部屋に異様に目立つそれはセイギの心をざわつかせた

セイギ「なんだ、あれ。」

俺がそう言うとコイツも俺の視線を辿る

零「箱…ですね」

確かに箱だ。だが、ただの箱などそんなものここに置いてあるはずがない。

その時部屋のモニターに再び女が現れた。

峰子「お待たせ!以外とすんなり決めたのね。」

峰子「もっと時間がかかると思っていたわ。特にあなた達は。」

そう言って高笑いする。

セイギ「うるせーよ。そんな状況じゃねーだろ」

セイギ「ていうか、なんなんだこの部屋」

考えても、まるで分からない。

この真四角の部屋に武器になるようなものも、俺達を殺せるようなものも置いてはいない。

セイギ「おい、あれはなんだ」

やはり気がかりなのは、異様に存在を主張するそれである。

峰子「気がついたのね。」

峰子「そうよ。あのボックスが今回のゲームの明暗を決めるの!」

零「…どういうことですか?」

コイツがそう言うのも無理はない。
女の言っている事がまるで分からない。

この箱が俺達の命を左右する力を持っているとでも言うのか。

峰子「まぁまぁ、そんな怪訝そうな顔しないで」

峰子「もっと近寄って、箱の中を見てみなさい?」

セイギ「中身?」

中になにか入っているのか、
そう思っていると、ソイツが先に箱を覗く。

セイギ「…ッ おい!危ねーだろ!」

思わずソイツの手を掴む。

零「セイギさ、ん?」

どうしたんですか、と俺に問いかける。

セイギ「どうしたんですか、じゃねーよ、何ひょいひょいと指示に従ってるんだ、殺されるかもしれないんだぞ!」

案の定、箱の中にはギラりと光る槍が俺達を睨みつけていた。

セイギ「おい。お前、こんなことして俺達を殺す気だったんじゃねーか?」

セイギ「こんな姑息な手を使わないと俺達を殺せないのか?」

ざまぁねーな、そう吐き捨てると、

峰子「今のはお遊びよ?それにその槍も偽物(フェイク)。いいものを見せてもらったわ」

峰子「まさか、あなたが宇海零を助けるなんてね。」


そういうと女はうふふふふと気味の悪い声を上げる。

そのセリフにとてつもない居心地の悪さに囚われた。

助けるとか、そんなんじゃない。……筈だ。
別に咄嗟に引き止めただけ。

元々敵対して居るコイツを助ける義理なんて俺にはない。

なんてね。と女はおもむろに口を開き、

峰子「安心しなさい。もう仕掛けはないわ。」


それに、と女は続ける。

峰子「今のでわかったでしょう?箱の中に何が入っているのか」

…………。

確かにあった。 箱の中に。
折り曲げられた紙が無数に。

セイギ「……あぁ。」

紙なんかどうしろってんだ。

するとずっと黙っていたコイツが不意に
零「もしかして、なんですけど。」

零「この中から紙を引くんですか?」

と呟いた。

……引く?紙を?

なんのために。

セイギ「おい、どういう事だ」

零「セイギさんもテレビとか何かで見たことがあるでしょう? 箱の中にお題が書かれた紙があって、それを引くんですよ。」

嘘だろ 、、そう思った。
まさか、最後のチャンスにこんな子供じみたゲームが回ってくるとは思ってはいなかった。

峰子「嘘じゃないわ。今、宇海零が言った通り」

峰子「目の前にあるそのボックスから一枚お題が書かれた紙を引くの。」

峰子「優しいでしょう?最後の運命は自分の手で決める事ができるのよ。」

峰子「そして、その紙に書かれたお題を実行すれば、晴れてリング獲得よ。ちなみに、クリアするまでこの部屋からは出られないわ」

……出られない?

その言葉はどこからか聞こえた爆音によって掻き消された。

ガシャン

背後から、耳を劈くような音が聞こえ、
振り向くと扉の前には巨大な防火シャッターの様なものが降りていた。

セイギ「クソっ」

あの女が言う仕掛けはもうないと言う言葉にまんまと騙された訳だ。

以外にも冷静なコイツが静まり返ったこの部屋の空気を震わす

零「…扉から出られないということは、もう完全な密室ですね…」

その瞬間、待ってましたとばかりにモニターから声が上がる

峰子「その通り!制限時間は2時間、その間にお題をクリアしなければー…」

峰子「この部屋に毒ガスが噴射されるの」


隣にいたコイツが

零「毒ガス…」

と呟いた

峰子「そうよ!ちなみにシャッターが降りた時点でカウントダウンは始まっているから、早く紙を引いた方がいいんじゃない?」

仕掛けなんて無いと嘘をつかれた挙句、カウントダウンが既に始まっているなど

馬鹿にされたもんだな、俺達は

自分でも、頭に血が上って来るのが分かる

峰子「残り時間は30分置きに私がアナウンスをするから。」

峰子「健闘を祈るわ!」

その声を残し再びモニターの映像が途絶えた。

コイツが人間柱時計にされた時の制限時間は30分
それを思えば、今回のゲームには時間的余裕はあるように思える

セイギ「おい!今度はお前が引け」

隣で何か考えているコイツにそう伝える

零「え、僕…ですか?」

セイギ「そうだ。さっきは俺が扉を決めたろ?」

次はお前の番だ

零「……分かり、ま、した。」

流石に二度も俺に委ねるのは気が引けたのだろう 大人しく箱に近づいていく。

零「あれ、、、」

ソイツが素っ頓狂な声を上げる

セイギ「どうした」

零「否、あの、さっきの槍が無くなっているんです…」

槍がなくなっている… 流石に二度も騙されたくはないが、

コイツが言うことが本当なら仕掛けはもう無いのだろう。

セイギ「だから、なんだよ」

零「だから、少し気になって、」

あぁ…コイツはそういうタイプだ

少しの事でも気にかかる
それが例えゲームに関係なくてもだ

この前も……そうだった

セイギ「んなの、気にする必要ねーよ」

つーか、カウントダウン始まってるんだ
早く引け。
そう言うと、

零「はい……」

と納得しないような顔で渋々箱の中に手を入れた

数秒中を探った後、恐る恐るというように、ゆっくりと一枚引いた

零「…え、」

紙の中を確認をしたのだろう
またしても素っ頓狂な声を上げた

セイギ「……?」

どうしたんだ。そう声をかけても、紙を見つめたまま動かない

それどころか、俺の言葉さえソイツの耳には届いていないようだった

明らか様子が可笑しい
そう思った俺は近づいて紙を覗いた

否……覗こうとした
だが、見れなかった

その瞬間
物凄いスピードでソイツは紙を自分の背後に隠したからだ

セイギ「……なんだ。どうして隠す」

零「嫌っ、その、」

えーと、と言葉を濁すソイツに不信感が募る

セイギ「ハッキリ言え」

まさかとは思うが、このまま俺に中身を見せず自分が有利にゲームを進めようとでも言うのか?

コイツの偽善の皮が剥がれたというわけか

セイギ「ハッ、そーかよ」

俺はどんどんソイツ近づいていく

警戒心丸出しのソイツはあからさまに身を固めて後ずさりする

セイギ「お前が何を考えているのかは知らねーが、俺を出し抜こうと思っても無駄だぞ」

零「…!そんなんじゃ、ない、です…」

ごめんなさいと何故か謝る

その隙を縫って、コイツの手から紙を取り上げる

観念したのだろう、その手からはするりと簡単に抜けた

セイギ「…は、」

だが、俺も数分前のコイツと同じ反応をする事になる

『"キス"しないと出られない部屋』


続く

『 ○○しないと出られない部屋 』

『 ○○しないと出られない部屋 』

セイゼロの近すぎない距離が好きな為、長い割にはイチャイチャしないです。 セイギが零への恋心を自覚するまでのお話の予定です

  • 小説
  • 短編
  • 恋愛
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-16

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