鏡の前に傘を忘れた。




鏡の前に
傘を忘れた。
雨も降らずに
傘を忘れた。






出掛け方
は残しておいて
帰り道
は導けなければ






定点だって
途方にくれるよ。
北極星が
引き合いに出されて






眠れないのは
真昼の月。
見つけられたら
どこにも行けない。






裸じゃないと
説明して。






あれも月だと
言ってよお願い。






森で見つけた
水溜り。
多分に写った
1つの人。
覗き込んだ
位置関係。
未来の象徴って
言えるいま?
増えた涙は
波紋になって,
写れないから,
見えない。






隕石だって
渡してくれた。
黒い石
は特別だった。
拭き掃除は忘れない。
約束なんて
1つもないけど。






手を降るからって
言われても
ココから離れた距離。
よく知って。
指で測って。






背伸びも尽きて
もう届かない。
地球のスイッチ
見つけてくれれば,
迷惑かけない
オフの無重力。






忘れた傘,
持ってってあげる。






朝は必ず迎えてる。
玄関だって
ホントに開けてる。






靴は少し減らして置いた。
サイズから見て,
2足分で





挨拶もちゃんとしてる。
外でも内でも。
独り言
にしないは約束。






相変わらずの
ブラウン管は
もう眠って
何処かに行って





はっきり映る
今日の予報。
今夜までずっと,
雨模様。






鏡の前に
傘は忘れた。
雨も降るけど
傘を忘れた。






曇りだから
見えやしない。
居ると あるが
等しくない。




沢山ある水溜り。
写ると不思議と,
2人も居ない。





傘は鏡の
前にある。
雨が降っても
前にある。






波紋は大きく伝わって
電灯1つもまるで月だ。






忘れ物
になっている
傘の色,
当ててみて。





住所は変わらない。
返事は忘れて。

鏡の前に傘を忘れた。

鏡の前に傘を忘れた。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-25

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