8月7日


目を輝かせてるお前が好きです。お前はいつもキラキラ輝いているのに、目だけはつまんなそうで、何か楽しい事は無いかと常に探していて、そんなお前が理解できない事や予測できない事態に直面した時に見せる若干の恐れと期待の込もった目の輝きを、ぼく は愛しています。

援交少女を真っ向から叱れる大人がどれだけいるんだろうって思いながら、サボテンに水をやっていた。見て見ぬ振りをする大人と、少女(もしくは少年)にパパと呼ばれる大人だけで、全人口が占められてる気がする。水差しを持っていないから、小さいコップから水を垂らした。雫がコップの縁を伝っていって、思ったようにサボテンには届かなかった。(サボテンは多分もう死んでる。化石みたいになってるし。) トゲが細くてブツブツしてて、鳥肌が立って 少し苦手だった。サボテンの花は赤色なんだって、おれ 初めて知ったよ。

黄緑色の小さい虫が二匹、エスの柔らかくていい匂いがする髪の上で抱き合っていた。べいびー、その髪はおれが洗ったのに、おれは そこで そんな風に寝転がれないんだ。
よだか は カブトムシなんかも食べちゃうんだよ、エス。お前は顎が細いからきっと噛み砕けないね。だけど エスがいつかカブトムシを 食べたいって言い出す日に備えて、おれは 硬いキャンディを噛み砕いて 顎を鍛えてんだよ。でも できれば、虫なんか一生食べたくないよ、おれ は。

おれに名前を教えないでね。毎日 その名前を呼んで大好きになっちゃうから。お前 の名前を書いた紙を枕の下に敷いて、お前 とキスする夢を 見ようとしちゃうから。
名前、教えないでね。

8月7日

8月7日

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-07

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