一年の約束 01.彼女
高校二年になってすぐ、俺は同じクラスの女子から告白された。
その子は去年から俺のことが気になっていたらしい。俺は今年初めて知った子だ。
考えた結果、俺はこれからお互いのことを知っていこうと思い告白をOKした。
「康平(こうへい)君、帰ろー!」
とても明るくて可愛くて、自慢の彼女だ。
彼女の名前は『酒井友香里(さかいゆかり)』。俺の名前は『後藤康平(ごとうこうへい)』。
「ちょ、待て待て。まだやることあるから」
「何するの?」
「図書室行って本返す」
「康平君って本当に本読むの好きだよねー。休み時間本ばっか読んでて相手してくれないもん」
少し拗ねて言う友香里。そんな友香里の頭にポンッと手を乗せ撫でる。
「後でクレープ奢ってやるから許せ」
「えへへー、いいよー!」
単純な奴だ。そこがよかったりもするのだが。
俺は図書室まで行き本を返した。その後すぐに友香里と高校を出てクレープを奢る。
「うんまー!」
「俺にも一口ちょーだい」
「あーんっ」
「.....」
クレープを俺の口元まで持ってくる。
「あーん...」
何とも恥ずかしい光景だ。
その後、ファミレスで一緒に飯を食って友香里を家まで送って俺もそのまま自分の家に帰った。
自分の部屋に入り、ベッドに鞄を放り投げた。
時間は21時を回っていた。今からシャワーとかいろいろしてたら多分日付は変わる。日付が変わると同時に、友香里からメールが来るだろう。
明日は友香里と付き合って三ヶ月になる。一ヶ月、二ヶ月と記念日にはメールを毎回送る友香里のことだから今回もまたデコメ使って光り輝いてるメールを送ってくるに違いない。
正直、そのメールを楽しみにしてるため俺は何があっても日付変わるまでは寝ない。いつも午前2時あたりまで起きてる俺にとっては余裕なことだが。俺は携帯をテーブルの上に置いて、シャワーなどすることにした。
日付が変わる1分前。テーブルに置いてある携帯をずっとガン見している。
そして、日付が変わり次の日。俺は携帯をずっと見つめたまま待つ。
「........」
日付が変わって、十五分。鳴らない。まぁまだ鳴るわけないか。
それから一時間経ったが、携帯は鳴らなかった。もしかして寝たのか。それとも送らなかっただけ?
結局、携帯は俺が寝る時間まで鳴る事はなかった。
そして次の日。
俺は教室に入ってすぐに友香里がいるか確認したが、いなかった。
いつも俺より先に来ている友香里がいないのが珍しい。
そのうち、朝のSTが始まった。友香里の姿はない。
結局、友香里が学校に来る事はなかった。どうしたのか気になったため、メールを二限目の終了後に送ったが返ってこない。
体調不良で休んでる?ならメールの返事が返せなくてもしょうがないか。
でも何か足りない気がした。見舞いにでも行ってやろう。あいつの好きなクレープ持っていけば喜んでくれるかな。
俺は授業後、すぐに学校から出てクレープを買いに行き友香里の家へと向かう。
そして、俺は知る事になる。
友香里の家庭事情を。
一年の約束 01.彼女