8月4日


ガリレオ・フィガロ。偉い人!

月の光がスポットライトみたい、って思いながら千鳥足で道路を横切っていたけど、ぼくに着いてこないから、スポットライトじゃないかもしれない。それか、おれが主役じゃないか。どっちか。

ずっと昔に、外国で胃薬を買ったら、白いカプセルの形をしたやつを紙袋に入れてくれた。なんとなくカプセルを割ってみたら、中に呪文が書いてある紙が丸められて入ってた。その紙をコップ一杯の水に溶かして(紙は水溶性だったんだ、今思うと)、飲んだ。胃痛が治ったかは覚えていない。作り話だから。
でも、紙ってなんだか、食物繊維が豊富そう。キャベツと紙、どっちを食べるか選ぶなら、おれはキャベツ選ぶけど。

エス、おれの名前を呼んで。名前じゃなくてもいい。おれを呼んで。ゲロ吐きそうなぐらいお前が好きだよ。

知らないおっさんに、お土産にマカダミアナッツをもらった。やっぱりマカダミアナッツはハワイだよね、って言いながらにこにこしてる おっさん、実はハワイになんか行ってないこと、たぶん全宇宙が知ってる。こうやってお土産を偽造(?)されても、全然腹が立たないのは、おっさんがおれの知らない ただのおっさんだから、っていうのと、マカダミアナッツが超美味しいからっていうのがある。
だけど全宇宙に うそ がバレてても、おっさんの奥さんにバレていない限り、おっさんは永遠にマカダミアナッツを丁寧に包装して持って帰ってくるんだろう。

酔っ払って月明かりの下を歩きながら、胃痛に耐えながら、知らないおっさんにもらったマカダミアナッツを頬張って歩いているおれ が主役じゃないなら、誰が主役なんだろう。ガリレオ・フィガロ、あなただけか。

8月4日

8月4日

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-04

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