ちから

野良猫ハミル

‪踏切の所に、ほんの2mくらいの小さいけど急な上り坂がある。‬


そこをガッと一息に自転車で登ったら、下にいた腰の曲がった婆さんが自転車を押そうとしながら、斜めに上を向いて「力があって良いねぇ」と言った。


「良い」か。



僕のは、自分勝手な力だなと思った。



この坂を壊すこともできまいし、婆さんを担ぐこともできない。



それ故に婆さんは僕の純粋で身勝手な力を、ただ羨んだのだろうと思った。


なんの意図もない言葉だったと今になって思う。



自分が難なく先に進む以外になんの使い道もないこの脚の上で、なんとなく悔しいと思った。

ちから

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  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
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