殿様になるっ!

おれは殿様になる
なんでかって?

偉そうにできるし
みんなはおれの下僕だから
なんでもいいつけて
なんでもすきほうだいにできるから

お城では
側室をいっぱいはべらせ
嫁は服従させ
子供はこの我が身の血を引き継くべく
おれの願う方へ導いてやる

地方へ行くのは嫁も部下も連れてその土地のうまいものをたらふく食い
宴会で裸踊りを無理やりやらせて地元有力者の自尊心を汚し
たまにお金をばらまいて貸しをつくる

政ごとは気ままにわがままにおもいつきだけでやる
失敗しても部下を左遷するか首を切ればよい
勉強なんかめんどくさいし頭もないからやらない
いろんなとこから情報だけ上げさせてなにもかも俺の一存で決める
悪いことをやってる部下とか地方の役人がいてもすぐには処分しない
とりあえずみのがしといて後々言う事を聞かなくなった時とか
おれの権力があぶなくなったときに脅しやカモフラージュとして使う

政策がうまくいっているかどうかも興味がない
大事なのは商人をもうけさせて
そこからおれたち一族と城の運営費をどれだけ稼ぐかだ
あくまでおれのための商人だ

転変地変はおこったらどうするかって?
そんなもんきまってるだろ
民をたすけるために全力をつくしてますってふりをするだけ
そんなやつらのためにおれは存在しない
かれらはおれに奉仕献上するために生きるんだよ

殿様になるっ!

殿様になるっ!

昔も今もこれからも、殿様になりたい人はいっぱいいます。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2018-08-02

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted