平和の世界
あの壁の向こうへ行こう。
僕達が頂上でいつも言う言葉だ。今日も昨日も1ヶ月前もその前も ここに来ては言っていた。そう、ここに来ては。
だけど僕達が壁の向こうに行ける日はこなかった。僕が見た壁の向こうは、僕達の想像と一致しなかった。僕達の苦労や希望は一瞬にして滅んだ。僕は、意識の薄れるなか思った。「行ってみたかった・・・・・平和の世界へ。僕はこれから天国へ行くんだろうか。地獄に落とされるのか。・・・・・。どちらにしても平和とは程遠いなにか。平和とは、別のなにか。」
「1度でいいからみんなで行ってみたかった」
「平和の世界へ」
平和の世界
起きると目の前には闇が広がっていた。僕は、意識を失った後ここにいた。おそらく死んだのだろうが、想像もしない場所にいた。そこは天国でも地獄でもない無の世界。いや地獄なのかもしれないか。僕は、疲れ果てた体を横にしてそっと目を閉じた。自分の思い描いた平和の世界。僕の頭の中には、その理想の世界が広がっていた。