なけなしの夜を  蹴る

なけなしの夜を  蹴る

短歌十首。

  



   



   



   



   



   



 

こがね色の草原

まどろみのまま 一日を使い 閉じゆく過去




「こんなもんだよ」を

 落とす

 綴った一行 投げる

 流されても なおも




きっと ここ

おれの

小さな背中がある

「リルがリルでさえあればいいのよ」




長くなる陽

眠る

風が

緑が

おまえは、さみしかったんだろうな




陽の影

残していく筋

消えゆく先の日と いまあるこの命と




追いかけていく夕刻は

書き残したひと いつか書きはじめるひと




煙を吹きかける

侘しかった今日

傷む

来やしなかった明日




とぼとぼと煙草吹く俺が足を抱えて生き切った小さな今日




数分

抱え

「こんなもんだ」

ときおり

地に着く

大泣きを乞う




かなしみは

遠く 

遠くに見て 

明日へゆずる

なけなしの夜を   蹴る
  



   



   



   



   



   



 

なけなしの夜を  蹴る

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なけなしの夜を  蹴る

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-07-31

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