たった二人で子供でしたね
短歌十首。
窓辺伝う雨水に
命脈を見る
この 生きうる限りの路を
光がやっと見えてきて
知る
残酷に暢気だったかもしれない
車窓
・
・
・
景色の 水
・
・
・
車窓に
人生があった
・
・
・
隣に
おまえが
いる
いつもひとがいたのね、と ひとがわらった
ひとがいって
ひとりで まった
元気ですか
だいじょうぶですよ
明るい寂しさ
毎日
想います
夜がときおり
深くなる
あとどのくらいだろう
あの子の心まで
「さあリルをさがそっか」
音色
噛む
見つけられる朝 夜にはぐれたら
手のひらに閉じる
花の命を
知る
「たった二人で子供でしたね」
変わらずに
ただ
なにも
哀しみ
花はゆくのか
生まれたこころのまま
かつて愛されたひとたち
皆
なつかしい言葉を
夕日に遠く
聞く
たった二人で子供でしたね
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