地を消えた絶唱
短歌十首。
敗れ去るように 夜陰
・・・・・・
・・・・・・
こんなものが
尽きる
いつか
・・・・・・
・・・・・・
失情の 夜陰
つかの間にだけ疾る街の影と灯は 地を消えたおまえの絶唱
きっと教えてくれ
哀しみさえも
やがて
懐かしくなる
この
ゆくえ
片隅のやさしい夜を彼岸のおまえと分け合って眠るいつか
冷えて
足繁く
街の彩色
昨日を ひとから
もぎちぎるように
「今日」が
優しくて
時の泡に転ぶおまえ
その笑み
見つけたら
記憶の色を
甘噛みする
夕方が
訥々と
口ごもって
降る
「もっともっと、リルの詩、読まれたらいいのに」
いつもの
夕方を
包む
生死
誓い合ったあの日々
窓から ひとを呼ぶ雨だれ
ひとを祈る
言葉が生きているだけでいい
雨音に乞う
彼岸のひとの 鼓動
地を消えた絶唱
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