18:42

やない ふじ

かくれんぼを忘れてしまったので、太陽はまだ沈みません
気付いたんだ、そうだった
今日、僕らの町は白夜になる

地面が回り始めたのは、緯度に自信がなくなったからです
逃げ水に飛び込んでようやく
冷めきった夢を見るのです

網膜にうつしてしまった影が
夕餉どきでも残っていました
忘れたいな、忘れたくないな
ケンケンしながら呟きます
行きたいな、行きたくないな
西の空に染められた、海が欲しかったのです

訥々とつづる指の、嘘は見抜かれました
おかしなことを言うと、笑われるのが願いでした
インクは、心音といっしょに滴りおちてゆきます
掬ったところで、すくえはしないのですが
ざれごとが地軸の傾きになるのならば
たわごとが自転を遅らせるのならば

月が見える訳でもない夜が、来ます
たとえ白夜だろうと、熱帯夜だろうと、いずれでもなかろうと
来ないで欲しいと思いながら目を開けています
まっくらやみになれなかった暗さの輪郭を見つめています
ほんとうのことを知らなければ嘘は吐けないので
見つめます、影を、回転を止めた地面を、僕を

氷が溶けてゆく音がしたので、さよならまた明日、だけが、残りました

18:42

18:42

今年の夏。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-07-24

Copyrighted
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