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かくれんぼを忘れてしまったので、太陽はまだ沈みません
気付いたんだ、そうだった
今日、僕らの町は白夜になる
地面が回り始めたのは、緯度に自信がなくなったからです
逃げ水に飛び込んでようやく
冷めきった夢を見るのです
網膜にうつしてしまった影が
夕餉どきでも残っていました
忘れたいな、忘れたくないな
ケンケンしながら呟きます
行きたいな、行きたくないな
西の空に染められた、海が欲しかったのです
訥々とつづる指の、嘘は見抜かれました
おかしなことを言うと、笑われるのが願いでした
インクは、心音といっしょに滴りおちてゆきます
掬ったところで、すくえはしないのですが
ざれごとが地軸の傾きになるのならば
たわごとが自転を遅らせるのならば
月が見える訳でもない夜が、来ます
たとえ白夜だろうと、熱帯夜だろうと、いずれでもなかろうと
来ないで欲しいと思いながら目を開けています
まっくらやみになれなかった暗さの輪郭を見つめています
ほんとうのことを知らなければ嘘は吐けないので
見つめます、影を、回転を止めた地面を、僕を
氷が溶けてゆく音がしたので、さよならまた明日、だけが、残りました
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