I am happy? 3
始まりがあるなら、終わりもある。
「なぁヒメノ」
「んー?」
アマミの大きな背中。
ぎゅっと握った白いシャツ。
しわになったらどうしよう、と思いつつも、離れるのも怖くて強く力を込める。
「俺たち付き合わねぇ?」
「…なにそれ」
そんな雰囲気を出していたことに、気づかなかったとはいえない。
私は目を伏せた。
ジリジリの太陽が、ぼやけている。
陽炎が、見えた。
コンクリートから感じる熱に、くらくらしていた。
「大きくなったらさーあー、ヒメと離れるかなぁー?」
「えー。わたし離れたくないよ。」
「ぼくだって離れたくないよ。」
「大丈夫、大丈夫。」
「うん。だって…」
目が合うと、恥ずかしそうに逸らすのは、アマミの癖で。
たまに笑ったときにきゅんとしてしまうのは、
恋とはまた違うものなんだと。
「友達でしょ!」
「うん…友達だもん。ずーっと友達。」
そうしてまた、繰り返し年は流れていった。
私はアマミから逃げていたのかもしれない。
「ごめん。」
「…謝んなよ。惨めになんだろ。」
「ごーめーんー。」
「だからさぁ。」
「違うの。違くて…っ。」
「ヒメノ?」
「…っ。」
「…泣いてんの?」
この心に住み着いているのは誰?
この心に今も変わらず居るのは誰?
この心に。
この胸に。
「マコト。」
どんなに腐った愛してるでも、使い古した愛してるでもいい。
変わらず私は求めている。
変わらない先生のこと。
I am happy? 3