「…………



これは、正義である。

これは、崇高なる使命である。

これは、絶対に曲げてはならぬ信念である。

これは、この世でただ一つの神による洗礼である。

これは、今の人間社会に神の存在を知らしめる行為である。

これは、神が腐った人類に行う制裁である。

これは、何よりも尊ぶべき神を崇めない人間への鉄槌である。

これは、最も美しい行動である。

これは、何人たりとも邪魔をしてはならぬ聖戦である。

これは、命よりも尊い真に大切な本質である。

これは、他の誰にも出来ぬ選ばれた私にのみ許される浄化である。

これは、今こそやらねばならない作戦である。

これは、世の中を変える革命である。

これは、全ての人々に自分の愚かしさを気付かせる懺悔である。

これは、人類の明日を築く改変である。




もう一度言おう、



これは、正義である。



………



このスイッチを押せば、我が魂は砕け散るであろう。


だがしかし、その犠牲により、愚かな人類は神の訴えることに気付く。



犠牲。



それは破壊。



そして創造。





誰も私を止めることなど、出来はしないのだ。


何人たりとも、私を止めることなど出来はしないのだ。



止めることなど、出来はしないのだ。



止めることなど、

止めることなど、

止めることなど、


この世の腐った人間どもに、


出来はしないのだ………。



…………」








『えー、昨日の○○鉄道の列車が脱線事故を起こしたニュースについてですが、今新たな情報が入ってきました。

どうやら事故を起こした車両には、××教の過激派の信者が乗っていたようで、その信者は爆発物を鞄に入れていたとのことです。

その信者は、列車が脱線し横転した際、強く頭を打ち付けて死亡した模様。

爆発物は警視庁の爆弾処理班によって無事回収されたとのことですが……
コバヤシさん、この件についてはどう思われますか?』


『まあ、脱線事故ということで多くの犠牲者は出ましたが、
脱線してこの信者が死んでいなかったら、より多くの被害者が出ていたでしょう。

なんにせよ、偶然というか運命というか、何か〈神懸かった〉ものを感じずにはいられませんね』








神様って適当だよな~と思って書きました。

信じる人と、その人の信じる神と。 信じることによって人は本当に救われるのか? 短編です。 読むのに5分かかりません。 気軽にぴゃーっと読んでください。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-23

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