つぶやく足元   諸般の事情により消します。ご迷惑をおかけし 申し訳ありませんでした。

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小学校の宿題を中学校の入学式に持っていくなんて、あり得ないって思わない?
 そんなモノ持って行くから、なんか入学式も、あっけなく終わった感じだよ。
 あ、でもね、イイコトもあったよ。
 小学校の頃からの仲良しの友達と、また一緒のクラスになれたこと。
 春休みに宿題漬けだったんだから、そのご褒美かな。ありがたく受け取っ・・・って、何? 
 教卓の上の、あの束! まさか、早速宿題?
 あんなもん、受け取りたくないよ! 消えて、なくなんないかなぁ・・・
今日は入学式だけじゃないん? 中学生活初日にして、早速出された、悪趣味な宿題。
(げえっ)って、品のない声が出そうな程。
「中学説明会でも聞いたと思うが・・・」
 部活見学は、寒い中を見に行ったなぁって覚えてるけど、そんな話、あったっけ?
 あ、英語の授業は覚えてる。小学校の英語と同じだなぁ、楽勝!って思ってたのに。
 あーあ、帰ってすぐ、やんなきゃ。小学校の教科書、もう一度開かなきゃなんないよ。
私と同んなじ様な顔した二人が、来た来た。
「三人でやろうよ、あの変態な宿題。」
「サキの家でする?」
 いいね。一緒にすれば、らくちんだ。
                                                  「・・・」
                                                  「・・・」
 ん?何だ何だ?
                                                   「 」
 あれっ? 聞こえなくなった。
「サキ!」
 あ、えっと・・・ 私も一緒にしたい。えっ?どうかした?

 ウチは、父ちゃんと二人暮らし。
 学校帰りの夕方頃、父ちゃんは起きて、私の夕食を自分の朝ご飯と一緒に作ってくれてる。
で、どっか仕事に出かけてる。だから夜は、私一人。 
朝になって帰ってくる父ちゃんに、今度は私が、私の朝ご飯のついでに父ちゃん用の晩ご飯を作る。
これが、ウチの毎日のパターン。
 小学生の頃から、こんなことやってるから、これが私には当たり前。
 友達の家に行った時に、お茶やおやつ出してくれたお母さんを見たら、
そりゃちょっとは(お母さんがいるって、いいなぁ)って思ったよ。
 だけど、私が生まれた時にお母ちゃん死んじゃって、
父ちゃんが、お母ちゃんの代わりも全部してくれてたんだよ。と、
近所のおじさんやおばさんたちが口を揃えて、私に教えてくれたんだ。
「サキちゃん。あんたの父ちゃんは、男手一つで、よう、しとったんよ。」
「あんたが風邪ひいたら、一晩中看病しとったんで。」
「買い物に行く時も、あんたを、風邪ひかさんように毛布にくるんで、おんぶして行きょうたんじゃから。」
 まだまだあるけど、何度も聞かされたから全部覚えてしまってるよ。
 分かってる、私も。
 父ちゃんに、感謝しなきゃってことは。
 顔は・・・友達に紹介できるほど格好良くはない。
 残念だけど、かなりデコボコだし、無精ひげもたまにしか剃らない。
 でも、自分の身なりはあんまり構わないけど、縫い物や料理は、パパッと上手にやってしまうんだ。
多分父ちゃんは、手先が器用なのかもって思う。
「何だって、やってりゃ、それなりに出来るようになるものさ。」
って言ってるけど、こんな細かいことが性に合ってるんだ、きっと。
 そんな父ちゃんの名人芸を見てきたからかな、私も、家事一通りは、まあ、できる方かな。
学校の成績は、ほとんど普通。だけど五・六年生で習った家庭科だけは、成績良かったもんね。
「お母ちゃんは、頭良かったんだけど、オレがこんなだからなぁ。ま、お前は、そこそこできるはず。」
 勉強に関しては、少し寛大かな。だけど、宿題とか、やることやってなかったら、すっごい叱られたことがある。
カミナリ? それどころじゃない。家が揺れたかと思ったよ。
 おんぼろアパートだから、しょうがないかもしれないけどね。
 自分の仕事がどんなので、どうしてるのかは、一度も教えてくれたこと、ない。
ないけど、いつも最後には、これ。
「手抜きしたことがないのが、オレの自慢。」
 なので、宿題さえやってれば、あとは何も言われない。と、思う。多分。
 テストで悪い点とって帰ってきたら、玄関出て仕事に行く道中、「オレの子だからかなぁ・・・」って、
ぽつりぽつりつぶやいてたのを、見たことある。
 私が、がんばらなかったからなのにね。
他の人から見れば、そんなウチの父ちゃんが、うらやましいらしい。
「あれこれ、ガミガミ、小言、言われないんでしょ。いいなぁ。」
 あのね。誰にも言えないんだけど、私にだって、父ちゃんに文句はあるよ。
仕事帰りの父ちゃんの、鼻に蓋をしたくなる程の汗臭いすっごい臭いは、
もう慣れっこだと言いたいけど、時々頭にきて、父ちゃんに芳香剤を直噴したくなる。
 アイドルのCMみたいにさ、さわやかな香りで帰ってきて欲しいけど。
 ま、あの顔、がたいだから、仕方ないと諦めてはいますが。

「だから、サキの家で宿題やろう、って言ってるのに、ほら、また・・・」
 私も(ほらまただ・・・)って、?マークがいっぱい頭の中で飛び回ってるんだよぉ。
また二人の話とかみ合わないこと、言っちゃったんだ、きっと。
 なんで? 私、聞いてたと思ったのに。
「まーた、ぼやっとしてたでしょ。」
「ほんと、サキ、何考えてたの?」
 あれ? 何か、私、考えてたっけ?
 ごめんごめん。ボケかましました。
「それ、ちーがーうー!」
 ナイスハーモニー!・・・じゃなくて、ホントごめんね。なのです。
「スルーしすぎ。で、いつからならイイ?」
 あ、宿題、一緒にする話だった。私に聞くってコトは、ウチでやる、ってことだよね。
 四時からで、いい?
「いいよ。分かった。」
「じゃあ、四時に、行くね。」

2 足元がつぶやいた

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-07-16

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