薔薇

薔薇

薔薇

彼女は花屋の前に立って
ずっと花を見ている

私が何をしていたの、と聞くと彼女はこう答えた

花を見ていると体の中にあたたかな何にかを感じるの
彼女の目はキラキラしているのが分かった
まるで少女の様に

私は人間臭いと思ったと同時に
優しい人間像が彼女の中には有るのだと思った

実際よく誕生日にはプレゼントに花を贈ることがあるし

花には見た目から香りを愉しむことが出来るから

単純にそう感じるのは幼稚園児でも分かる

それで彼女は店先でジッと花を眺めていたのだ

そして今日も花を眺めていて何か一輪の花を買ったのと言った

部屋の居間のテーブルにはガラス瓶に薔薇の花を差して置かれて居た

香りがほのかに香る

そして皆に嗅いで欲しそうにしている

薔薇にはそんな存在感を感じるのだ

彼女はこう言った
でも花は最後には枯れてしまうの
それが寂しいのよ

でも又時期が来れば咲くのが嬉しいと

花にも生き物と同じように命がある

そこに私は生き物すべてに命があり感謝する事の意味を当たり前の話だが、生命の尊さを感じたのだった

そして今日も彼女は店先に立ち花を見ている

歳をとってもいつまでもそのキラキラした目で花を見つめているのだろう

自分も薔薇を買いたくなった

薔薇

薔薇

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-07-15

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