そして少女は物語を語り始めました
そして少女は物語を語り始めました
『その少年は、寝ても覚めても空想をしているほど空想が大好きでした。
だから少年は目を覚ました時、自分が眠りについたはずのベッドではなく、まるで空想の世界のような白く輝く草原にいるときずいても不思議がりこそすれ慌てたりはしませんでした。
「不思議だなあ、一体ここはどこなんだろう」
少年はそう呟きながらあたりを見渡しました。
そこは白く輝く草と、星さえ見当たらない真っ暗な空以外何もない場所でした。
白く輝く草はどこからともなく吹いてくる風に時々揺れています。少年はその幻想的な雰囲気の世界に最初は興奮して、走り回ったり、叫んだり、草をちぎったりしていましたが、何をしても何もおこらないので次第に飽きてしまいました。
「ここは、この白い草以外何もないのかなぁ。誰かいてくれたらいいのに」と少年はつまらなそうに呟きました。
するとその呟きを待っていたかのように、少年は急に後ろから「何をしているの?」と声をかけられました。
少年が声に振り向くと、そこには大体自分と同じぐらいの年齢に見えるとても美しい黒いドレスを着た少女が立っていました。
さっきあたりを見渡した時は確かにいなかった筈なのに、と少年が不思議がっていると少女は無表情で少年に再度「何をしているの?」と尋ねてきました。
少年は嘘をつく理由もなかったので、正直に「走ったり叫んだり草ちぎったりしてる」と答えました。
すると少女は少し笑顔になりました、そして次は「何がしたい?」と尋ねてきました。
少年は少し悩みましたがこんな白く輝く草以外何もない場所でするようなことが思い浮かばなかったので、また正直に「特に何も」と答えました
少女はさらに笑顔になり、今度は「なにをしてほしい?」とたずねてきました。
少年はさっきよりも長い時間悩んだ後、こんな不思議な世界で、こんな美しい少女からなら今まで見たことも聞いたこともない面白い物語が聞けるに違いないと思いつき「物語を話してほしい」と言いました。
少女はもっと笑顔になり、さらに問いを重ねました。
「どんな物語が聞きたい?」
少年はかなり悩んだ後、いままで母や先生から聞いた物語のようなありきたりで教訓や隠された意味ばかりにこって面白くないようなものは聞きたくないと思い「教訓や意味のない物語が聞きたい」と言いました。
すると少女はこれ以上ないほどの満面の笑みを浮かべて
「いいわ、話してあげる教訓も意味もない物語を」と言いました。
そして少女は物語を語り始めました
『その少年は、寝ても覚めても空想をしているほど空想が大好きでした。
だから少年は目を覚ました時、自分が眠りについたはずのベッドではなく、まるで空想の世界のような白く輝く草原にいるときずいても不思議がりこそすれ慌てたりはしませんでした。……
……「いいわ、話してあげる教訓も意味もない物語を」と言いました。
そして少女は物語を語り始めました
『その少年は、寝ても覚めても空想をしているほど空想が大好きでした。……
『その少年は……
『その……
『そ……
そして少女は物語を語り始めました
そして少女は物語を語り始めました
初めての作品です、よろしくお願いします
…いやあそれにしても物語を作るって難しいですねえ