道の中で

わざわざ通勤ラッシュを狙って街を出た
白や黒、灰や紺の中に赤と青が不自然に歩いている

大きな横断歩道は生き物のように揺れ動き
人間は中心部に吸いこまれて消える

はじめて見た景色に
赤の瞳は円を描いてぐるぐると、ぐるぐると
青を見失い、立ち止まる

と白たちがどんどん背中を押して
人ごみの中へ運んでいく
どっどっどっと白たちが赤の回りを囲む

冷気が近付いてくる
吸いこまれる音が聞こえる

青は赤の腕を摑んだ
白たちは舌打ちをして吸いこまれて消えた

赤はけろりとして、笑う
あの中には私たちは入れないのかしら

青は口を歪めて赤の色落ちを気にしていた

道の中で

道の中で

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-07-02

Copyrighted
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