シンデレラ

ゆう

幼児向けです。オリジナルのシンデレラを書きました。

むかしむかし。あるところに、とても可愛い女の子がいました。
ある日のことです。悲しいことに、女の子のお母さんが病気で死んでしまいました。女の子の家の中で、ひつぎの中で眠っているお母さんを見ながら、子供と大人たちがしくしくと泣いていました。外では雨がザアザアと降っています。まるでお母さんが死んだことを悲しんで、雲も泣いてくれているみたいでした。
お母さんが死んでから、1ヶ月後のことです。お父さんが2回目の結婚をしました。女の子には新しいお母さんができました。お母さんには、女の子より年上の2人の娘がいました。だから、女の子には2人のお姉さんができました。ところがお母さんとお姉さんは、すごくいじわるな性格だったのです。お母さんは、自分の娘よりも美しい女の子のことが気に入りませんでした。それで怒ったお母さんとお姉さんは、掃除、洗濯、料理、全ての仕事を女の子に押し付けました。そして、2人のお姉さん達はきれいな部屋で、ふかふかの温かいベッドで気持ちよく眠りますが、女の子には1枚の毛布すら与えられず、わらの中で犬のように丸くなって寝るよう言いつけられました。お姉さん達は素敵な服を着ているのに、女の子はつぎ当てだらけのボロボロの服しか着せてもらえません。女の子のお部屋まで取り上げられてしまい、女の子はクモの巣だらけの汚い屋根裏部屋に追いやられてしまいました。お風呂に入ることも許してもらえず、女の子の頭にはいつもカマドの灰がついていました。そこで3人は女の子のことを、灰をかぶっているという意味の、シンデレラと呼ぶようになりました。お父さんは毎日、朝早くに家を出て仕事に向かい、夜遅くに帰ってくるので、自分の娘がいじめられていることなど知りませんでした。
ある晴れた日のことです。お城に住む王子様が、お嫁さんを選ぶ舞踏会を開くことになり、シンデレラの家にも招待状が届きました。お母さんとお姉さんは大はしゃぎです。
お母さん「夢みたい!王子様のお嫁さんになれるかもしれないなんて!」
姉「王子様ってどんな人かしら。優しい人だといいな」
お母さん「冷たい人だったら嫌ね」
姉「いじわるな人だったら嫌だなあ」
シンデレラはお母さんとお姉さんをじーっと見つめました。そんなシンデレラに、お姉さんが言いました。
「何?シンデレラ?舞踏会に行きたいと思ってるの?」
「まあ、お姉さまはわたしをからかっているのね。わたしのような者が、どうして舞踏会に行けるものですか」
シンデレラの言葉を聞いて、もう1人のお姉さんが笑います。
「あははは。それはそうよね。灰だらけの娘が舞踏会なんかに行ったら、さぞみんなの笑い者になるでしょうからね」
「ええ、そうですね」
シンデレラは涙をこらえると、にっこりと無理に笑顔を作って、お母さんたちを送り出しました。それからシンデレラは悲しくなり、ポロポロと泣きだしました。
「わたしも舞踏会に行って、王子様に会いたいなあ」
でも、シンデレラのボロボロの服では、舞踏会どころか、お城に入ることも許されません。
その時、誰かがシンデレラに話しかけました。
「泣くのはおよし、シンデレラ」
ベル「・・・誰?」
すると、シンデレラの目の前に、魔法のつえを持った妖精のおばあさんが現れました。
「シンデレラ、あなたは辛いことがあっても、いつも笑顔でがんばる良い子ですね。そのごほうびに、わたしが舞踏会へ行かせてあげましょう」
「本当に?でも、どうやって?」
「本当ですよ。ではまず、あそこの畑からカボチャを取っておいで」
シンデレラが畑からカボチャを取ってくると、魔法使いは魔法のつえを出して、カボチャをつえで叩きました。するとカボチャはどんどん大きくなり、なんと黄金の馬車になったではありませんか。
「まあ、なんて立派な馬車なのかしら。素敵ね」
「まだまだ。魔法はこれからよ。さて、馬車を引くには、馬が必要ね。その馬はどこにいるのかしら?ああ、ネズミ捕りにはハツカネズミが6匹いるわね」
魔法使いはネズミ捕りからネズミを取り出すと、魔法のつえでネズミを触りました。すると白いハツカネズミはみるみるうちに、立派な白馬になりました。別のネズミ捕りには、大きな灰色のネズミが1匹いました。
「このネズミは、そうねえ・・・」
魔法使いが魔法のつえで灰色のネズミを触ると、立派なおひげを生やした太ったギョシャ(馬車を操る人)に変身しました。
「次はトカゲを6匹集めましょう」
シンデレラはトカゲを6匹集めました。トカゲを魔法のつえで叩くと、お供の人になりました。
「さあシンデレラ、これで舞踏会に行く準備ができたわ」
「うれしい。ありがとう。でも、こんなドレスじゃ・・・」
「あら、そうね。忘れていたわ」
魔法使いが魔法のつえをひとふりすると、みすぼらしい服は、たちまち輝くような真っ白なドレスに変わりました。そして魔法使いは、小さくて素敵なガラスのくつもくれました。
「さあ、楽しんでおいで、シンデレラ。でも、わたしの魔法は12時までしか続かないから、それを忘れないでね」
「うん。ありがとう。行ってきます」
シンデレラはカボチャの馬車に乗って、お城へ向かいました。
お城の大広間には、美しいドレスを着たたくさんの娘たちがいて、みんな王子様に気に入られようと、お嫁さんになろうとがんばっています。お城の大広間にシンデレラが現れると、そのあまりの美しさに、あたりはシーンと静まりました。それに気づいた王子様が、シンデレラの前に進み出ました。
「僕と踊っていただけませんか?」
シンデレラはダンスがとても上手でした。王子様はひとときも、シンデレラの手を離しません。楽しい時間はあっという間に過ぎました。気づいたら、もうすぐ12時です。
「あ、いけない。もうすぐ12時だわ。おやすみなさい、王子様」
シンデレラはていねいにおじぎをすると、急いで大広間を出て行きました。シンデレラはあせって階段を駆け抜けて、途中で転んでしまい、ガラスのくつが脱げてしまいました。時計を見ると、12時まであと5分です。もうすぐ魔法が解けてしまうので、ガラスのくつを取りに戻る時間はありません。シンデレラは待っていた馬車に飛び乗りました。
真っ暗な夜の空に浮かんでいるたくさんのお星さまを、馬車の窓からながめながら、シンデレラは舞踏会のことを思い返しました。
楽しかったなあ。まさか本当に王子様と踊れるなんて。夢のような時間だったわ。生きていれば辛いことはたくさんあるけれど、ごほうびに今日のような楽しいこともあるのよね。また今日みたいな楽しい日がくるまで、明日からまたがんばろう。
でも、王子様と踊るだけじゃなくて、やっぱり結婚したかったなあ。王子様と結婚できる良い方法は・・・あるわけないか。神様にお願いすれば、叶えてくれるかしら。難しいお願いでも、強く祈れば神様が叶えてくれることだってあるかもしれないわね。
シンデレラは、右手と左手を胸の前で組み合わせて、深く祈りました。
シンデレラのあとを追ってきた王子様は、落ちていたガラスのくつを拾うと王様に言いました。
「僕は、このガラスのくつの持ち主の娘と結婚します」
次の日から、お城の使いが国中を駆け回り、ガラスのくつが足にぴったり合う娘を探しました。でも、そのガラスのくつは、妖精がシンデレラのためだけに作ったものなので、他の人がはいても大きすぎたり小さすぎたりと、ぴったり合う人は1人もいませんでした。やがてお城の使いは、シンデレラの家にもやって来ました。
お母さん「さあ、娘たち。このガラスのくつが足に入れば、あなたたちは王子様のお嫁さんよ」
「はい、お母様」
2人のお姉さんはガラスのくつにギュウギュウと足を押し込みましたが、2人の足は大きかったので、どうがんばっても小さなガラスのくつには入りません。
「残念ながら、この家には昨日の娘はいないようだな」
そう言って、お城の使いが帰ろうとした時、シンデレラが現れて言いました。
「そのくつ、わたしもはいてみます」
それを聞いた2人のお姉さんは、大笑いしました。
「何を馬鹿なことを言ってるの」
「そうよ。あたしたちに入らないのにあんたなんかに・・・あっ!」
シンデレラがはくと、ガラスのくつはぴったり合いました。2人のお姉さんとお母さんは、驚きのあまり口もきけません。するとそこへ、あの時の妖精が現れました。
「あらあら、わたしの出番ね」
妖精が魔法のつえをひとふりすると、シンデレラのみすぼらしい服が、たちまち昨日の光輝く真っ白のドレスに変わりました。
「あのシンデレラが、昨日のあの娘?!」
黄金の馬車でやって来た美しい娘がシンデレラだったことを知って、お母さんと2人のお姉さんはヘナヘナと腰を抜かしてしまいました。
「おお。王子様の心をいぬかれたお嬢様は、あなたでしたか。さあ、未来のお姫様。お城で、王様と王子様がお待ちですよ」
お城の使いの言葉に、お母さんとお姉さんは顔が真っ青になりました。シンデレラが王子様と結婚すれば、シンデレラはこの国のお姫様になります。お母さんとお姉さんは、今までシンデレラにひどいことばかりしてきたので、このままではお姫様になったシンデレラに仕返しされて、この国を追い出されてしまうかもしれません。3人はあわてて、今までのことをシンデレラに謝りました。するとシンデレラは3人の手を取って、にっこりと笑って言いました。
「今までのことは何とも思っていないわ。でも、これからは優しくしてね」
そしてシンデレラはお城の使いと一緒にお城へ行くと、王子さまと結婚してこの国のお姫様となりました。
シンデレラ「強く祈れば願いが叶うことって、本当にあるのね」
さて、シンデレラと王子様の結婚式には、二人のお姉さんも招待されていました。お姫様となったシンデレラは、大勢のお客の中から二人のお姉さんたちを見つけると、二人に近寄って二人を優しく抱きしめました。そして招待客の若い貴族たちに、二人のお姉さんを紹介してあげました。この事がきっかけで、お姉さんたちは若い貴族と結婚をして、二人とも貴族になりました。シンデレラは見た目が美しいだけでなく、とても心優しい娘です。そんなシンデレラだからこそ、妖精のおばあさんはシンデレラに素敵な贈り物をしてくれたのです。お母さんとお姉さんを許すことができたシンデレラは、心がとても強くてかっこいい女性ですね。おしまい。

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