I am happy? 2

I am happy? 2




 ヘッドフォンに流れる音楽は、通り過ぎていく
 大人や子供や同じくらいの年頃の若者には聞こえない。


 自分にしか聞こえない音。




 だけど、先生はイヤホンを使っていた。



 なんで?って聞いたら、二人で一緒に聞けるでしょ?って笑って片方のイヤホンを差し出した。






 いつかは、って思ってたけど、それが今になって


 こんなにぎゅっと締め付けられるものだって知らなかった。




 「マコト」



 部屋に居る時は、そうやって呼んでくれた。



 耳元で何度も、そうやって言ってくれた。






 「ヒメノ」



悲しくなんてないよ。泣いたりもしないよ。



 そんな私を見て、先生は悲しくならない?






 「悲しくならないよ」




 なんで?





 「これが正しかったって思ってるからね」





 正しいって?






 「間違ってなかったってことだよ」






 「間違ってる。こぅチャンは間違ってるよ」



 「どうしてそう思うの?」


 「だってこぅチャン言ってたもん」



 「ねぇ」



 
 「泣かせたりなんてしないって」


 「あのさ」



 「泣かせてるじゃん!今こうやってさぁ!」








 「もうこぅチャンって呼ぶの、やめない?」



 こぼれる涙は、こぅチャンには見えない。


 
 唇を噛んでみても、止まらない。



 「やめよう」



 どうして?


 なんで?


 私、間違ってないよね?




 「もう帰る時間でしょ。ほら、ほら」




 ”先生”を利用してる。






 「さようなら」




 「さようなら」




 さようなら。


 さようなら。

I am happy? 2

I am happy? 2

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-21

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted