「死ぬなら、こんな霧の日が良いよな。」


私もそう思う

濃霧と肌寒さの中で溶けたい

薄紫と、弱い青に包まれて


「霧の日に吸う煙草って、美味しいんだよ。」


うん

笑ってみた



この人、無邪気なのかな

結局わからない

同じことを思うのに、わからない



この人、霧の色してると思う

赤い血が流れてるくせに、こんなにも白くて、青い

こうして枯れた声を見てると冷たいのに、私より温かい


横向いたらいなくなってたりして



咳払いを聞いた

たしかに硬い音がした



「溶けないよね。」

安心したら、口から漏れた

「何が。」

私が今考えてたこと、いなくなってたりして…ってこと話すと、ははは、良いなそれだって



感情とか共感とか、期待とか、結局弱いんだな
霧くらい細かくて、なんでも包んで濡らして、太陽から逃げるように消えてしまう



「また出てくるけどね、霧は。消えるわけじゃないでしょ。」



「その度に、溶けちゃう人が出るかもね。」



「うん。」



溶ける人は溶けて、出てくるときに出てくる


お天気屋さんだね

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-06-22

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