勇者様は辛いのです。 3

第3話「鬼に魅られた者」

新しい仲間が増えます。

「零さん、ありがとうございました!!」
「お前たち、頑張るんだぞ」
「「「はい!!!」」」
零の一言に三人は元気に返事をし、調和の村を出た。
「久しぶりの旅だなぁ」
ボソッと憂香が呟く。
「憂香は前に旅したことがあるの?」
輝瑠が笑顔で問うと、あるよ、と憂香が笑顔で答える。
「それはそれは素敵な方だった。女には甘くて少しだらしないけど、仲間のことを真っ先に考えて、風と剣を使って戦ってた。」
「その人を仲間にしたいなぁ」
憂香の言葉に輝瑠がボソッと呟く。
「その人ならこの先の村にいるよ?」
その呟きに憂香が答えると、輝瑠が目を輝かせルイを見る。
「わかった、わかった。その村に行ってみよう。」
ルイが答えると輝瑠が飛び上がって喜ぶ。そんな様子を見ながら、ルイと憂香が笑った。



「ふむふむ、ここがその村・・・」
「まさに、ゴーストタウンだな・・・」
「あれ、おかしいな・・・」
1つの村の入り口で立ち竦む3人
「あっ、笛の音が聞こえる!綺麗だ・・・」
輝瑠が笛の音が聞こえると目を閉じた
「あっ、ホントだ!!この音・・・あの人だ!!」
憂香が走り出す。その後を二人が追いかけるように走っていった。



「いた!!!詩鬼様!!」
憂香が叫ぶ。前方には水色の髪をした天パの男がいる。その詩鬼と呼ばれた男はゆっくりと憂香を見る。
「憂香か・・・お前には俺の前に二度と現れんなって言わなかったか?」
詩鬼が冷たい目で憂香を見る。
「確かにそうおっしゃいました。しかし、詩鬼様には会って頂きたい方がいるのです。」
「お前の後ろにいる連中か?」
「はい」
憂香の後ろには輝瑠とルイがいる。
「初めまして。詩鬼さん。俺、輝瑠って言います。俺はいわゆる勇者って使命を持ったヤツです。使命とは言わないかもだけど・・・」
「勇者?」
詩鬼の眉が動く。
「俺はルイ。輝瑠が勇者ってんなら俺は記憶するものだ。」

「ふーん・・・・・で?」
一瞬眉を動かしたきりで、まるで興味がないかのように問う。
「あなたに仲間になって頂きたいのです。」
「それは無理」
輝瑠の言葉にドキッパリと言い切る詩鬼。
「なぜです?」
ルイの問いに詩鬼がため息をついた。
「俺が鬼に魅られたヤツだからだ。」
ボソリと言う詩鬼に輝瑠が疑問を浮かべる。
「鬼に魅られた者とは、あなたのその体の中に鬼がいる。そういうことですね?」
ルイが問う。
「そうだ。」
「その者は殺し屋リングの一員であると。しかし、今はリングは壊滅した。」
「お前の情報通りさ。俺は殺し屋だった。誰かの大切な人を殺した。俺には記憶がない。いや、記憶しなかった。だから、細かい部分は何一つ覚えちゃねぇ。“詩鬼”になる前の記憶と“詩鬼”になってからの適当なところしか覚えちゃねぇ。いや、覚えていなかった。今は思い出した。憂香に出会ってから思い出した。ちゃんと記憶してたんだな。全部思い出したよ。ちゃんと覚えてる。俺が殺したヤツの顔を最後の死に様を俺は全部覚えてた。その中に憂香と同じ顔をしたヤツがいた。」
「!!」
詩鬼の言葉に驚く憂香。
「いや、瞳の色が違った。あの子は海の様な青だった。憂香が話をしていた双子の姉だとわかった。だから、俺は憂香に近付くなと言った。それに、俺の中の鬼の血が騒いでんだよ。憂香の血が飲みてぇって。だから、俺はお前らと一緒に行けない。」
「・・・・・・詩鬼様がお姉ちゃんを殺したの?」
「そうだ。・・・・・いや、俺は一言を投げ掛けただけだ。でも、それであいつが死を選んだのは紛れもない事実だ。俺が殺したに等しい。」
「・・・・・・・お姉ちゃんが言ってた。”大切な人のために今、自分が何をしてあげられるか、ちゃんと見極めなさい。時には自分の身を犠牲にすることもあるだろう。そんな時でも自分がどうしたいか、なにをしてあげられるかをしっかり考えなさい“って。私にとっては詩鬼様は大切な存在なのです。今の私にできること・・・それは・・・!!」
憂香が一枚のカードを取り出す。
「発動!!!」
手に力を込めカードを発動する。
「我が左手を退魔の手に、我が右手を包容の手に!!流芽双音!!」
言葉とともに憂香の手が変わっていく。
「者が拒む鬼よ!!者に帰り者に伏せ!!流牙双音!!!」
詩鬼を爪へと変わった左手で裂く。
「憂香!!」
輝瑠の叫びも聞こえないのか、今度は右手で詩鬼の頭を撃つ。
「はぁ・・・・解除」
息は荒く、手を元に戻す。
「憂香!!何してんだ!!」
輝瑠が怒鳴る。
「鎮めた・・・・」
「鎮めたって・・・・」
憂香の言葉に輝瑠が反論しようとしたときだった。
「鎮まった・・・・?」
詩鬼が驚いた顔で呟いた。
「詩鬼様が鬼を拒絶していた。だから、鬼を鎮めて出てこれないようにした。」
「なんだ・・・・殺っちゃったのかと思った・・・」
輝瑠が一安心する。
「私が詩鬼様を殺したりするハズないじゃん。」
憂香が笑う。輝瑠も笑う。
「詩鬼さん、俺たちと一緒に来てください。」
輝瑠が頭を下げる。
「「お願いします!!」」
憂香とルイも頭を下げる。
「・・・・別に良いけど・・・断る理由もねぇしな。ただし、輝瑠、ルイ、先に言っておくが、俺は染の一族だ。それも力持ちだ。ここまで言えばわかるな。憂香を傷付けたらお前たちの命は・・・・言わなくてもわかるだろ。」
「・・・・・・覚悟はしておきましょう。」
ルイが言う。
「なら良いんだ」
詩鬼がフッと笑う。
「ほら、行くぞ。いつまでここにいる気だ。」
詩鬼がそう言い、歩み始める。三人もその後を追った。


少年たちの旅はまだまだ長い。



おわり

勇者様は辛いのです。 3

最後まで読んで頂きありがとうございます!
久し振りの投稿なんですけどもぉ・・・・なんぞ?このgdgd感は!!
まあ、良いや・・・

まぁ、ね、こんなダメ小説でござるが、良いななんて思って下さったらイイネ!ボタン的なのを押してくださいな。

勇者様は辛いのです。 3

  • 小説
  • 掌編
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-20

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