少女と天の川

ブランコを漕いでいました。

お父さんとふたりで。

お父さんはいつの間にかいなくなっていました。

でも、わたしは平気です。

いつかかえってくると、信じているからです。

知っているからです。

お父さんは、いつもわたしをひとりにして、

ふら、っととなりにかえってきます。

その時お父さんは、いつも笑っています。

苦しそうな、楽しそうな、(好きな)いつものかおです。

わたしは、笑いました。

「かえってきたの。」と、言って、ぎゅっと

腕を掴みました。抱き締めて、抱き締めて、

お父さんを放したくありませんでした。

お父さんは、頭を撫でて、撫でながら、

「お仕事だったから。ただいま。」と、言って、

わたしは泣いていました

わたしは泣いていてお父さんは、笑っていました。

こんな幸せがずっと、つづけばいいなと

わたしは、天の川におねがいしました

少女と天の川

少女と天の川

過去に見た出来事。風景。幼かったころの、淋しさ。健気さ。 それらをこの女の子とお父さんに、ひょうげんして貰いました。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-20

Copyrighted
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