少女と天の川
ブランコを漕いでいました。
お父さんとふたりで。
お父さんはいつの間にかいなくなっていました。
でも、わたしは平気です。
いつかかえってくると、信じているからです。
知っているからです。
お父さんは、いつもわたしをひとりにして、
ふら、っととなりにかえってきます。
その時お父さんは、いつも笑っています。
苦しそうな、楽しそうな、(好きな)いつものかおです。
わたしは、笑いました。
「かえってきたの。」と、言って、ぎゅっと
腕を掴みました。抱き締めて、抱き締めて、
お父さんを放したくありませんでした。
お父さんは、頭を撫でて、撫でながら、
「お仕事だったから。ただいま。」と、言って、
わたしは泣いていました
わたしは泣いていてお父さんは、笑っていました。
こんな幸せがずっと、つづけばいいなと
わたしは、天の川におねがいしました
少女と天の川