かわいそうな鉛筆くん

むかしむかしあるところに鉛筆くんという少年がいました。

鉛筆くんは二日に一度、頭の先を削られてしまいます。

あまりにも削られるので鉛筆くんの身長は半分になってしまいました。

鉛筆くんの親友のシャープペンシル君の身長は、生まれてから一度も変わっていません。

鉛筆くんはそれを不思議に思い、シャープペンシル君に尋ねました。

「シャープペンシル君、なぜ君の身長はいつまでも変わらないの?」

シャープペンシル君は少し考え、こう答えました。

「僕はね、一週間おきに頭の蓋を引き抜かれているんだ。

そして、芯を中に入れてもらってるから削る必要がないんだよ。」

その時、鉛筆くんの苦手なクラスメートの消しゴム君が現れて、二人にこう言いました。

「君たちが教室に落書きをするから僕の頭はこんなに汚れてしまったんだ。何か僕に言うことはないかい?」

「君はもともと汚れていたんじゃないのかい」鉛筆くんはあざけるように言いました。

消しゴム君も言いかえします。「ぼくは毎朝あたまをピカピカにみがいてから学校に来てるんだ。

明日の朝、朝日のように光り輝く僕のご自慢の頭を見るといい。」

鉛筆くんと消しゴム君は大きな声でののしりあいました。シャープペンシル君が止めようとしますが上手くいきません。

結局二人はけんか別れに終わり、次の朝がやってきました。

鉛筆くんがいつものように窓の外を見ると太陽の光がさんさんとふりそそいでいました。しかし、もうひとつ光るものが見えます。

昨日消しゴム君が言っていた通り、彼の頭はつるつるピカピカに光っていました。

鉛筆くんはくやしくてくやしくて泣きました。あまりにも泣きすぎたので色が落ち、白色の鉛筆になってしまいました。

次の日、身長も短くなって色も白くなった鉛筆くんは、大きな暗い穴の中へ放り込まれてしまいました。

かわいそうな鉛筆くん

酒を飲んだ勢いで友達と一行ずつ交互に書きました。

我ながら迫真の出来だと思います。

かわいそうな鉛筆くん

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-20

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